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伝え、広め、深めていきたい憲法!

代々木総合法律事務所  渡部 照子

 私が初めて憲法に出会ったのは、小学校低学年の時であった。明治生まれの母は私に「新しい憲法ができてね、戦争しない国になったの。それに女も男と同じようになんでもできるようになったのよ、照ちゃんはいい時代に生まれてきてよかったね。」と言った。続けて「自立した女になるためには経済力をつけることよ」とも言った。明治憲法下で女という性を理由とした理不尽な生き方を強いられた母の無念さの吐露であった、と思う。
 私は中学校2年の社会科で憲法を学んだ。前文を読んで身体が震えた。私は主権者である。自分の人生を決め、国の方針も決める。再び戦争の惨禍を起こしてはならない。平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼する。国際社会において名誉ある地位を占める。自国のみのことに専念してはならない等々の文字が光のように眼の中に飛び込んできた。この前文が生きる世界を私も創りたい、と思った。
 弁護士になってから、団女性部の一員として憲法学習の素材としてパンフレットの作成に関与させていただいた。「憲法と私たちのくらし」である。全国の団員女性弁護士が執筆し、販売し、学習会で活用された。
 杉並区に暮らしていた36年の間に、平和・人権活動や集会(「澄子は忘れない」と題する劇)等、また、扶桑社の教科書採択反対運動、あるいは、同区に居住する弁護士有志の会の一員として機密法反対運動、安倍第一次政権時代に「教育基本法改悪」反対の1000名アピール署名運動等々を、中野に移転後の現在は「九条の会・中野」の一員としてささやかな活動をさせて頂いている。

 昨年の衆議院選挙で改憲勢力が衆・参とも3分の2を超える事態となった。現在もコロナ禍が継続中であって、人々は抑圧された日常生活を強いられている。心の中に不満・不安・苦しさが溜まっている。そんな人々に対して、改憲勢力は、地域に大きな美しいポスターを張り出し、また、憲法改正の主役はあなたです、と訴える。目と耳から毎日のように改憲の声が響く。心を暗くしている人たちに「憲法を変える主役になること」が自分にとって新しい喜ばしい世界が広がるような錯覚を持たせようとしている。
 現在、「九条の会・中野」は、これらに対抗するためのキャッチ・コピーを応募している。中野の町に新しいポスターを張り出し、街宣をして、町の雰囲気を変えていきたい、と切に願う。そして現在の政治情勢を大きく変え、さらに一層憲法を伝え、広げ、深めよう。最終的には日米安保条約の廃止が必須だ。これからも長い時間がかかるだろう。バトンを渡す人たちが次々と現れている。希望をもって生き続けようと思う。


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