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新人紹介
社会の理不尽に対して、法律や諸制度を駆使して闘っていくことが、誰もが個人として尊重され、安心して暮らすことの出来る社会の実現のために不可欠である

東京法律事務所 山内 志織

 皆さまはじめまして。弁護士の山内志織と申します。
 昨年の4月に司法修習を終えて東京法律事務所に入所するとともに、自由法曹団に加わらせていただきました。
 大学では学園祭を運営するサークルに所属し、来場者対応を行っていました。大学の学園祭には、学生のみならず、その友人やご家族をはじめ多くの方が来場されます。そしてその中には視覚や聴覚、身体に障害を持った方も当然居られます。
 そこで、私が所属していたチームでは、一般的な案内などの来場者対応に加え、障害のある方も学園祭を安全かつ快適に楽しめるように、バリアフリー活動を積極的に行っていました。具体的には、大学構内を歩いて段差やドアの位置等を確認し、車椅子が安全に構内を移動することができるようにバリアフリールートを考えたり、視覚に障害のある方向けに触地図(凸凹が付いていて、位置関係等を触って確認できる地図)を作成したりしていました。
 このような学園祭運営サークルでの経験が、私の中で、社会的に弱い立場に置かれている人々の現状を考えるきっかけになりました。そして、ゼミ活動等を経験する中で、次第に子どもを巡る家族の問題や、労働問題に特に関心を抱くようになりました。
 また、労働問題に関心を抱くきっかけになった出来事はほかにもあります。それは大学生になって始めた塾講師のアルバイトでの経験でした。
 私がアルバイトをしていたその塾では、ミーティングや翌日の教室の設営、掃除の時間等は終業のタイムカードを打刻した後、無給で行わされていました。そのほか、模試等の開催で忙しいときには全く休憩がとれず、朝から子どもたちが帰る夕方まで昼食も取れないこともありました。
 いま考えれば、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間は労働時間であり、教室の設営や掃除の時間も労働時間にあたるのですから、その分の時間にも労働時間に応じて支払われるべき時給は当然支払われなければなりません。
 また、労働基準法上、使用者は、労働時間が6時間を超える場合に最低45分、8時間を超える場合には最低1時間の休憩を労働時間の途中に与えなければなりません。
 しかし当時の私は、このような働かせ方はおかしいのではないかと感じつつも、このような自分の身を守るための労働法の知識がなく、ほかのアルバイト仲間とともにただただ業務に追われていました。私は、このアルバイトの経験から、労働問題を身近に感じるようになりました。
 そして、私は、以上の様な経験から、労働者の皆さまや女性・子どもなど、社会や家庭内において弱い立場に置かれやすい人々の直面する法的課題に取り組みたいと考えて弁護士を志しました。
 会社による違法な行為や、家庭内におけるDV被害などによって、個人の権利や生活の安定が理不尽に脅かされることはあってはならないと私は考えます。
 しかし、現状では経済力や交渉力格差等の存在を背景に、様々な態様で人々の生活の基盤や権利が侵害される事案が後を絶ちません。
 私は、このような社会の理不尽に対して、法律や諸制度を駆使して闘っていくことが、誰もが個人として尊重され、安心して暮らすことの出来る社会の実現のために不可欠であると思います。
 そして、自由法曹団には、あらゆる社会の理不尽に対して法律や諸制度を駆使して闘ってこられた数多くの先生方がいらっしゃいます。常に弱い立場に置かれやすい人々の権利実現のために邁進する自由法曹団の皆さまの姿は、私の憧れです。
 これからも、自由法曹団に所属する諸先輩方に学ばせていただきながら、弁護士として精進し、人々の権利実現のために尽力させていただきたいと思います。
 自由法曹団の先生、事務局の皆さま、これからどうぞよろしくお願いいたします。


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