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新人紹介

あかしあ法律事務所 倉重 都

1 弁護士になった理由
  私は、長いサラリーマン生活を経て弁護士になりました。営利企業に雇われ、その利益のために働くということは、少々過激な言い方ですが、生活のために心と身体(時間)を企業に捧げ、その見返りが給料ということです。私はさらに「魂を会社に売る」という言い方をしていました。「人財」などとの綺麗事はいくらでも言えますが、企業にとってみれば、従業員はどう転んでも「経費」にすぎません。そのような疑問を常にふつふつと感じながらそれでも生活のためにずっと会社員生活から脱することができませんでした(会社員の多くは同様だと思います。)。
  一方、私は物心つく頃から、社会の既存の慣行やしきたりに疑問を感じることが多かったです。身近なところでは、家族関係です。なにゆえ女性が「嫁に入り」、「入った」先の「家」で小さくなっていなければならないのだろう?男性は決まった仕事の間だけ働けばよいのに対し、なぜか女性は24時間営業を要求される。さらに、「嫁」は風呂は最後だったり、正月や祭りの際も、男性陣は、昼間から居間で酒飲んでくつろいでいるのに対し、女性は台所で働き、合間合間の細切れ時間に慌ただしくご飯を食べる。これらは多くの家庭でだいたい似たような感じなのです。これって奴隷じゃないか?女性であるというだけで、なんでこんなに損なんだ?と幼少期に強烈に思いました。そして、これに対して何の疑問を感じていない当事者女性達にもさらにびっくりしていました。このようなことから、婚姻が決まった女性の花嫁姿や、近所の結婚式を見聞きすると、祝うどころではなく、重たく暗い気持ちになったものでした。幼少期の私の心に大きな疑問と強烈な怒りが形成されていきました。当然ながら周りの大人に疑問をぶつけましたが、「そういうものだから」との回答ばかりで私の疑問が解消されることはありませんでした。自然な流れで、将来、私自身がそんな立場になるのは絶対に嫌だと、「これはなんとかせねば」との思いが残りました。ゆえに今でも婚姻制度が嫌いです。これが私が弁護士になった原点です。三つ子の魂百までと言いますが、上記のように会社員生活をしていく中でも、この疑問は平行して常に頭の中にありました。
今から数年前のある日、所属していた企業の事業部が事業撤退をするためまとまった退職金が得られるチャンスがありました。これは願ってもないビッグチャンス!と思って飛びつき、弁護士への転職活動(勉強)をしました。周りには無謀だと言われましたが、なんとか今に至って良かったです。もっとも、幼少からの私の疑問に対処し、理不尽な思いをしている多くの方の役に立つための手段として、弁護士になったことがベストだったのかどうかはまだわかりません。他にもっとベストな転職の道もあったのかもしれません。しかし、少なくとも会社員時代よりは前進したと思っておりますし、弁護士に転職して良かった、正解だった、と思える人生を送りたいと切に思っております。

2 自由法曹団に入った理由
  自由法曹団を初めて知ったのは、司法試験に合格した年の秋に青年法律家協会の修習生向けの勉強会に参加したのがきっかけです。私はずっと労働者で弱い立場の当事者でしたから、弱い立場の個人側について手弁当で活動する弁護士は、まさに私が目指す弁護士の姿でした。係属中の裁判の話はもちろん、過去に自由法曹団の弁護士が取り組んだ事件は、どれも魅力的なものでした。特に、司法試験の勉強の中で出てきて誰もが知っている憲法に関する数々の裁判を自由法曹団の弁護士が行ったことを知った際は興奮しました。私もそのような活動ができたらと思いました。もっとも、自由法曹団の、男尊女卑社会に対する取り組みと団員の意識はまだまだ発展途上のようで、人権感覚が高いはずの男性弁護士の意識が、自身の社会や家庭等での優位性が脅かされる可能性がある活動に対してなかなか向かないのは、とても残念に感じております。


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