自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

議員立法による再審法改正の実現を求める決議

1 袴田事件、福井女子中学生殺人事件など、再審公判において無罪判決が相次いで言い渡されている。しかし、えん罪を晴らすまで、袴田事件は事件発生から58年、福井女子中学生殺人事件は事件発生から39年と、膨大な時間と労力を要することになった。この原因が再審法の不備にあることが明らかとなり、法改正への機運が高まっている。
2 2025年通常国会では、野党6党により再審法改正案が提出された。この議員立法による再審法改正案の骨子は、@検察官保管証拠の開示命令、A検察官の不服申し立ての禁止、B裁判官の除籍及び忌避、C期日指定などの手続規定を設けるというものである。この改正案は、現在の刑事訴訟法では再審請求審の証拠開示に関する規定がなく、証拠開示勧告・命令を行うかは裁判所の裁量に委ねられていること、また、再審開始決定が出ても検察官の不服申し立てにより、再審公判開始や無罪判決の確定まで長期間を要してしまうことになることなど、過去のえん罪事件の教訓から生み出されたものである。
3 一方で、再審法改正に反対してきた法務省は、2025年3月28日、法制審議会に再審法改正の検討を諮問した。この法制審議会部会のメンバーは、えん罪被害者の当事者が一人も入っておらず、法務省の意向に同調する学者や検察官、警察官などが大半を占めており、その公正性、中立性が保たれておらず、えん罪被害者の救済を無視した状況の中で議論が続けられた。
 法制審議会部会は、2026年2月2日、再審法改正に向けた要綱案を取りまとめたが、その内容は、@再審請求をスクリーニング(選別)する手続きを新設し、再審請求を受けた裁判所は速やかに調査を行い、再審請求の理由がないことが明らかなときは直ちに棄却しなければならず、A証拠開示については、検察が開示義務を負う範囲を限定し、B検察の不服申し立て禁止は盛り込まれず、開示証拠の目的外使用を罰則付きで禁止するというものである。これは、えん罪被害者を救済するどころか、かえって救済を困難にする内容である。この要綱案が再審法改正を求める国民の意思から乖離していることは明白である。
4 法制審議会は、2026年2月12日、要綱案を議決し、法務大臣に答申した。
 しかし、冤罪による取り返しのつかない犠牲をなくすために必要な再審法改正の中身は、法制審の要綱案ではなく、議員立法による改正案の中にこそ示されている。改正案は今回の衆院解散で廃案となったが、通常国会に再提出されるべきである。
 自由法曹団東京支部は、えん被害者の救済を阻害することになる法制審議会の答申に反対するとともに、えん罪被害者の速やかな救済の実現という再審法改正の原点に立ち返り、議員立法による速やかな再審法改正の実現を求めて、ここに決議する。

以上
2026年2月21日


 
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