自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

再審法改正の早期実現を求める決議

1 「10人の真犯人を逃すとも1人の無辜を罰するなかれ」との法諺にあるとおり、冤罪は国家による最大の人権侵害であり、その予防こそ刑事裁判において第一義的に要請されるものである。冤罪被害の深刻さは袴田事件をはじめとする過去の冤罪事件が証明している。
 もっとも、人が人を裁く以上、冤罪が発生する可能性を完全には否定できない。再審制度はまさに冤罪被害者救済の「最後の砦」である。
2 昨年9月、袴田事件の再審無罪判決が言い渡された。同判決は捜査機関の証拠ねつ造にも正面から切り込んだ画期的なものであったが、2014年3月27日の最初の再審開始決定(静岡地裁)から10年以上経過し、袴田さんも判決時点で既に88歳であった。
3 その翌10月には、福井女子中学生殺害事件の第二次再審で再審開始決定が確定したが、1997年に最高裁で有罪判決が確定してから27年が経過してのことであった。
4 いずれの事件においても、証拠開示によって再審開始決定の要件となる重要な新証拠の存在が明らかになったこと、そして再審開始決定に対する検察官の不服申立てによって再審開始が遅れたところが共通する。再審法改正によって証拠開示の規定と再審開始決定に対する検察官不服申立て禁止規定を創設する必要性はこれらの再審事件によって明白になったものである。
5 こうした流れを受けて、昨年3月には、超党派の議連(「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」)が設立され、昨年末時点で360名を超える議員が参加するに至った。日弁連を中心とする再審法改正運動は、自由法曹団を含む法律家団体や多くの各種団体の賛同のもと全国的に拡がり、昨年末には450を越える自治体で再審法改正を求める意見書が採択された。このように、再審事件の進展、超党派議連の発足、弁護士会をはじめとする再審法改正運動の全国的拡がりによって、再審法改正の機運はこれまでになく高まっている。
6 自由法曹団東京支部としても、袴田事件再審無罪判決を契機として、2024年9月26日付で「袴田さんの無罪判決を受けて、控訴断念と再審法改正の早期実現を求める決議」をあげている。
7 ことここに至っては、最早、検察・法務省が再審法改正を拒否することは許されない。いまも冤罪被害に苦しむ者がいることに思いを致し、自由法曹団東京支部は、一刻も早い再審法改正の実現を求めて、ここに決議する。

2025年2月22日
自由法曹団東京支部 第53回総会
 
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