自公政権による原発再稼働政策を阻止することに全力を挙げて奮闘する決議
2011年3月11日に発生した東日本大震災及び福島第一原発事故から約12年経過するが、未だに全国各地での被災者・被害者の避難生活が続いており、除染も目途が立っていない状況である。しかしながら、国及び東京電力は浪江町や富岡町等の避難指示を解除し、2018年3月には賠償金を打ち切った。また、自主避難者に対しては極めて低額な賠償しか行わずに、住宅無償提供等は一部を除いて打ち切られており、退去しない避難者には訴訟を提起して追い出しを図るなど、一方的にあたかも被害が終息しているかのように見せかけている。
いまなすべきことは、このようなアンダーコントロール政策ではなく、震災発生時の対策を十分に構築することなく、原発安全神話に則り安全対策を怠ってきたという現実に真摯に向き合い、誤りを認めたうえで、被災者・被害者に対して万全な支援を行うとともに速やかに原発廃炉への選択をとることにこそある。
しかし、安倍政権や菅政権、岸田政権は廃炉をするどころか9基の原発再稼働を目指す、2022年8月には原発運転期間をこれまでの60年から延長する方針を打ち出す、2021年4月13日には福島県漁業協同組合連合会との約束を反故にして汚染水を海洋放出する方針を決定する、同年10月22日に閣議決定した第6次エネルギー基本計画にて原発を「重要なベースロード電源」として原発依存することを表明する、2023年2月10日には「GX基本方針」として原発新増設を明確に打ち出す、福島第1原発事故の汚染土を新宿御苑の花壇で「再生利用」する実証事業を住民不在で行うことを決定する等、自らの政策による被害を顧みることなく民意を無視して原発再稼働政策を取り続けるなど反省はまったく見られない。また、裁判所も、2022年6月17日に国の責任を問う原発被害訴訟について国の責任を認める高裁判決を覆して国の責任を否定し、2023年1月18日には東京電力の役員の刑事責任について東京高裁が無罪判決を下すなど、政府・東京電力の姿勢を追随するかのような判決を出している。
このような姿勢は、ひとたび原発事故が起こると、取り返しがつかない深刻かつ甚大な被害が生じることに目を背けるものであって、福島第一原発事故の教訓から何も学ぶことなく、国民の生命、身体、生活の安全を脅かすものであって許されるものではない。
2023年も国や東京電力を被告とする訴訟は各地で継続し、原発再稼働を阻止する訴訟も全国各地で展開されるなど裁判闘争は活発に続けられており、こうした運動を引き続き支援する必要がある。また、現在も世論調査などで多くの国民は脱原発を求めており、原発再稼働を許さず、一日も早く日本の原発ゼロ社会を実現することが急務である。
自由法曹団東京支部は、裁判闘争を引き続き支援し、原発を「再稼働させない、輸出させない、全ての原発を廃炉に」して自公政権による原発再稼働政策を阻止するために、なおいっそう奮闘することをここに表明する。
2023年2月24日
自由法曹団東京支部総会