ロシアによるウクライナ侵攻から1年、ロシア軍の即時撤退を求めるとともに、これに便乗して軍拡を図る岸田政権の退陣を求める決議
2022年2月24日のロシアがウクライナに軍事侵攻を開始してから、本日をもって1年が経過した。
国連憲章2条4項は「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」と規定しており、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が国連憲章に違反していることは明らかであり、軍事力の行使によって国際平和を侵害するロシアの暴挙は絶対に許されるものではない。
国連人権高等弁務官事務所の発表によれば、ロシアによる軍事侵攻が始まって以来、2023年2月12日までにウクライナでは少なくとも7199人もの市民が死亡したと発表されており、現在も死亡者の数は増え続けている事態となっている。戦争によって無辜の市民の生命が奪われることは何をもってしても正当化できるものではなく、ロシア軍は直ちにウクライナより撤退すべきである。
国内に目を向ければ、岸田政権は2022年12月16日、敵基地攻撃能力保有を容認する安保3文書を閣議決定し、安倍政権が推進した戦争する国づくりを踏襲する姿勢を明らかにしている。
岸田政権は、ロシアによるウクライナ侵攻や台湾有事の危険性を殊更に喧伝し、日本の安全保障を強化する必要性がある等と声高に唱えている。
しかし、軍事力に対し軍事力で対抗することは、周辺諸国との軍事的緊張を高め、日本国民を際限のない軍拡競争に巻き込むものといえ、今こそ日本国憲法の平和主義の理念に則った政策により、国際社会で名誉をある地位を占めるべきである。
コロナ禍やこれに起因する金融危機等で、貧困に苦しむ市民が世界中にいる中で、敵基地攻撃能力を保有するため等の防衛費に43兆円もの税金を投入することは、日本国憲法の平和主義や国際協調主義の理念と相反する憲法に矛盾した政策である。
日本は、医療・福祉・教育といった世界中の人々が豊かに暮らすための政策にこそ資源を投資していくべきであり、そのような政策の実施こそが日本国憲法の平和主義・国際協調主義の理念に符合するものである。
自由法曹団は、ロシアのウクライナからの即刻撤退を求めるとともに、これに便乗して軍拡を図ろうとする岸田政権の退陣を求める。
2023年2月24日
自由法曹団東京支部総会