自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

2021年開催の東京五輪(オリンピック・パラリンピック)の速やかな中止・延期の決断を求める声明

 現在、東京五輪の開催まで50日を切ったが、新型コロナ感染拡大は危機的な状況である。変異株が急増し、感染者と病床数を超える重症者の増大が続き、深刻な医療崩壊が進んでいる。ワクチンの接種についても、各窓口は混乱を極め、国民全体への接種は不透明である。世界では、インドで変異ウイルスのまん延で現在でも連日感染者が10万人を超え、ワクチン接種が進んだ一部の国を除いては依然として感染拡大が続いている。
 それにもかかわらず、東京大会には、世界から約1万5千人の選手・コーチ、IOCはじめ世界の五輪関係者、参加国の政府要人、スポンサー関係者など約9万人の人々が参加する予定である。たとえ海外観客受け入れ断念や無観客としても完全に感染を防ぐ保証はない。加えて、組織委員会は、日本看護師協会に対し500人の看護師の確保を依頼し、さらにスポーツドクター200人を募集しているが、人の命と健康よりも五輪を優先するものであり、断じて許されない。
 また、世論調査でも国民の70%が開催の中止あるいは延期を求めており、アメリカでは日本渡航中止勧告が出るなど、世界も今夏の開催に強い警鐘を発している。加えて、政府コロナ分科会会長である尾身茂氏も「今の状況で(大会開催を)やるのは普通はない」との態度を表明している。
 このような医療崩壊の危機的状況での開催、誰からも望まれない中での開催は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会推進というオリンピック憲章の理念に真っ向から反するものであり、開催の大義は存在しない。
 したがって、東京五輪開催の決定権を有するIOCが本年開催を直ちに中止と判断すべきである。また、菅首相、小池都知事など日本側もIOCに責任をなすりつけるのではなく、開催国政府として命を守る立場から中止・延期を宣言すべきである。いずれの場合でも中止・延期した場合の取り扱いについて真摯な協議を直ちにすべきであり、その実効性確保のため、十分な情報公開をすべきである。
 以上のとおり、自由法曹団東京支部は、東京五輪(オリンピック・パラリンピック)の2021年開催を直ちに中止・延期とすることを求める。

2021年6月7日
自由法曹団東京支部
支部長 黒岩哲彦
 
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