自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

東京オリンピック・パラリンピックの開催中止を求める決議

 2020年夏に開催予定の東京五輪(オリンピック・パラリンピック)が延期となり、2021年の開催まで5か月となったが、緊急事態宣言が3月7日まで延長され、新型コロナウイルスの感染は未だ収束する見通しはない。東京都内の医療体制は逼迫し、全国各地で体調が急に悪化して自宅などで死亡する例も急増している。
 予選を兼ねて3月にドイツで予定していた体操の個人総合のワールドカップが中止になるなど半数以上の競技で出場選手が未だに確定せず、競技会場で活動する約8万人の大会ボランティアから辞退者が相次ぎ、日本医師会は医療提供体制のひっ迫状況が改善されない限り、さらなる外国人患者の受け入れは可能ではないと述べ、国内外からのアスリートたちからも多くの市民が望まない中での大会への参加を疑問視する声が上がっている。もはや東京五輪は、開催が可能であるとの理由を探す方が困難な状況である。共同通信の世論調査では今夏開催の「中止」「再延期」を合わせた反対意見は80.1%と昨年12月の前回調査の同61.2%から激増した。
 しかるに国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は、予定どおり7月に開催できると述べ、日本オリンピック委員会(JOC)や東京都、政府は「東京大会を開催することにゆるぎない決意を持っている」(山下泰裕JOC会長)、「ウイルスとの戦いに打ち勝つ証しを刻んでいきたい」(小池百合子都知事)、「人類がウイルスに打ち勝った証しとして東京で開催する決意だ」(菅義偉首相)等と科学的根拠のない精神論を強調するのみである。
 五輪が平和の祭典とは程遠いビジネスのための大会に堕し、テレビ放映権料やスポンサー収入を得ることが目的となっていることは多くの市民が指摘するところである。経済の活性化を前面に押し出して誘致した東京五輪であるが、多額の税金を投入して今夏に開催する大義はすでに失われた。
 自由法曹団東京支部は、今夏の東京オリンピック・パラリンピックの中止を直ちに決定し、東京都の組織力、財政力を新型コロナウイルスの対策に集中することを求める。

2021年2月26日
自由法曹団東京支部第49回定期総会
 
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