自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

性差別・LGBT問題に全力で取り組む決議

 性差別とLGBT差別は、自己の努力と意思では変えることが困難な産まれながらの属性を理由にした差別である。そのため、これらを理由にした差別的取扱いは絶対的に禁止されるものであり、これらを理由に取扱いを異にするために求められる「合理的理由」のハードルは、最も高いレベルになくてはならない。
 この国には根強い男尊女卑の意識があり、「リベラル」「人権派」と評される者達でさえ、いつのまにか植え付けられた男尊女卑意識の下、不合理な性役割(ジェンダー)をもとにした思考や言動から離れることができない。
 2020年度は、例年にも増して、女性蔑視の発言が目立った。いわゆる岡村発言、杉田水脈発言、そして森喜朗発言である。さらにこの森発言を受け、経団連の中西会長は、それを「日本社会の本音」と評した。日本のリーダー的立場にある者らが率先してこのような発言をしている事実は、日本のジェンダー・ギャップ指数が年々下がって2019年には153か国中121位となったことを裏付けている。
 新型コロナは、女性が置かれているこの国の不合理な仕組みを浮かび上がらせた。もともと非正規労働・サービス業が多い女性、そして家族のケアを押し付けられている多くの女性は、直接的に大きな打撃を受けた。10万円の給付金を「世帯主」に一括して渡すという国の決定に、日本の多くの女性は悔しく悲しい思いをした。この国は、いまだ、文化的だけではなく制度的にも「家父長制」なのである。
 男女は対等であるという当たり前のことが根付くためには、選択的夫婦別姓制度の導入は必須である。
 また、LGBTの問題についても、足立区議など、乏しい知識による誤った発言があった。根底には自己と異なる者に対する想像力の大幅な欠如がある。
 LGBTの問題を大きく解消させるには、少なくとも、人生において、「婚姻」を選択できることを、異性間だけの「特権」としている現状を変え、「誰でも、誰とでも」婚姻できるようにすることが必須である。現在、異性間カップルは、ある種の「特権」を与えられている状態なのである。この特権を廃絶し、全ての者の権利として制度を作り直すことで、LGBTに対する根強い偏見は大幅に改善されることが見込まれる。
 自由法曹団東京支部は、性差別・LGBT問題について、今後も重要な人権課題であると位置づけ、団体として全力をあげて取り組むことをここに表明する。

2021年2月26日
自由法曹団東京支部第49回定期総会
 
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