自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

都民ファーストの会による新型コロナウイルス感染症対策罰則付き条例案断念と東京都による都民,事業主,医療機関等に対する支援強化を求める声明

1 本年11月30日に開会した都議会定例会に,東京都議会の最大会派である都民ファーストの会が,東京都新型コロナウイルス感染症対策条例の一部を改正する条例案(以下,単に「条例改正案」という。)の提出を予定した。条例改正案に対し,自由法曹団東京支部は,同日,「都民ファーストの会が策定した東京都新型コロナウイルス感染症対策条例の一部を改正する条例案に反対する」と題する意見書(以下,「意見書」という。)を執行し,条例改正案の問題点を具体的に指摘した。

2 本年12月2日,都民ファーストの会は,開会中の定例会での議案提出を断念することを明らかにし,実際に提出を行わなかった。なお,不提出の理由について,都民ファーストの会の小山有彦会長は「なるべく多くの皆さんの理解を得るのが,私たちの原則的な姿勢だ」などと説明したが,公明党が反対する方針を決めたこと,その他の会派も賛成する見込みがないことが既に報道されていた。

3 自由法曹団東京支部は,意見書において,条例改正案は,都民ファーストの会及び小池都知事が,「感染症対策に取り組んでいる」というポーズをとるための政治的パフォーマンスに過ぎない可能性があることを指摘した。実際に,定例会開会後すぐに不提出を発表したことからすれば,この指摘は正鵠を得ていたものだったといえる。

4 意見書で指摘したところであるが,条例改正案には多くの問題点があり,多方面から「感染者への差別を助長する」「実効性がない」などの批判が寄せられていたところである。
 都民ファーストの会は,条例改正案について,継続的に協議をし来年に再度提案をするとしているが,条例改正案にはあまりにも欠陥が多く,提案そのものを直ちに断念するべきである。
 今求められているのは,東京都による検査体制の整備であり,そのための実効性ある保健所,医療機関等の体制強化,支援等であり,あるいは都民及び事業主に対する様々な経済的支援であって,これらの抜本的強化である。

5 自由法曹団東京支部は,暮らしと平和,人権,民主主義を擁護する法律家団体として来年以降の条例改正案の提出に断固として反対するとともに,東京都による都民,事業主,医療機関等に対する支援強化を求める次第である。

2020年12月17日
自由法曹団東京支部幹事会
 
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