自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

航空自衛隊「ブルーインパルス」の飛行に抗議する声明

 2020年5月29日,午後0時40分頃から約20分間,6機編隊のブルーインパルスは,文京,江東,港,世田谷区などを中心に千葉,神奈川県境付近までを八の字を描くように飛行した。飛行は,新型コロナウイルス感染症の治療に当たる医療従事者らに謝意を示すのが目的とされているが,以下のとおり,実際に直面している課題から目を背ける不要不急の実演であった。

 ブルーインパルスは,2000年7月4日の宮城県牡鹿町で発生した墜落事故をはじめ,過去にも複数回の墜落事故や重大インシデントを生じさせてきた。この事実は,密集して飛行する編隊飛行がいかに危険であるかということを示している。墜落を含む重大事故について,具体的な安全対策を明らかにしないまま東京都心部を含む住宅密集地の上空で編隊飛行を行うことは大きな危険性を含んでいる。

 現在,東京都内や北九州市での新規感染者の拡大に見られるように,新型コロナウイルスによる市中感染は続いており,「第2波」への着実な備えが求められている状況である。医療体制を抜本的に強化し,受動的検査から積極的検査への政策転換が必要である。
 医療機関の経営状況も危機的である。多くの診療所が収入減を訴えており,病院・診療所の経営難による医療崩壊を起こしてはならない。
 現在,医療機関・医療従事者に対して求められているのは,医療機関・検査体制強化のための抜本的かつ継続的な財政支援であり,人々の生命・身体や財産を危険にさらす編隊飛行でしかないことは明らかである。

 自由法曹団東京支部は,航空自衛隊「ブルーインパルス」による不要不急の実演飛行に抗議するとともに,東京都内はもちろん,他の地域においても同様の実演飛行を二度としないことを強く求める。

2020年6月9日
自由法曹団東京支部
支部長 黒岩哲彦
 
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