自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

東京都知事選挙の投票日を7月26日に延期すること等を求める声明

 自由法曹団東京支部は、自由法曹団(1921年創立、憲法と人権、平和の民主主義の問題にたずさわる弁護士が約2000名以上加入し、全都道府県で活動している団体)の東京支部として、都内の約460名の弁護士が結集している団体で基本的人権の擁護、平和・民主主義の発展を目指し、諸活動に取り組んでいます。
 本年7月に予定されています東京都知事選挙の投票日等について、東京都民の選挙権と政治活動を保障するために公職選挙法の範囲で変更すべきだと考えます。

趣 旨
 東京都選挙管理委員会は2019年11月の委員会で「2020年6月18日告示、7月5日投開票」を決定しました。  しかし、新型コロナウイルス感染拡大の事態の中で、東京都民の選挙権と政治活動を保障するために公職選挙法の範囲で選挙日(投開票日)と告示(選挙期間)について、変更を検討すべきです。

1 選挙日(投開票日)
 任期満了直前の日曜日である「7月26日投開票」に変更をすべきです。
2 告示(選挙期間)
 20日前や30日前に告示をして選挙期間を長く設けることを検討すべきです。

理 由
第1 公職選挙法の定め
1 選挙日(投開票日)について
 公職選挙法33条1項は地方自治体の長の任期満了による選挙は、「その任期が終る日の前三十日以内に行う。」と定めています。現都知事の任期は2020年7月30日ですので、選挙日を「7月26日(日曜日)」に変更することは可能です。
2 告示(選挙期間)について
 公職選挙法33条5項1号は「都道府県知事の選挙にあつては、少なくとも十七日前に」告示とされています。知事選挙の選挙期間は通常17日とされていますが、公職選挙法では「少なくとも17日前の告示」すなわち、20日前や30日前に告示をして選挙期間を長く設けることは可能です。これにより期日前投票の期間を通常より長くすることで、投票所の混雑を分散させて「3密」を防ぐことに寄与すると思われます。

第2 東京都選挙管理委員会が決定をした2019年11月から事情が大きく変更した
1 新型コロナウイルス感染拡大という重大な事情変更
 2019年11月の時点では新型コロナウイルス感染拡大を予想できませんでした。
2 東京オリンピック・パラリンピックの延期という重大な事情変更
 選挙日(投開票)は「任期満了直前の日曜日」に設定されるのが通常です。東京都選挙管理委員会は、東京オリンピック・パラリンピック開催のために「6月18日告示、7月5日投開票」と決定しました。
 しかし、東京オリンピック・パラリンピック開催の事情がなくなりましたので、通常である「任期満了直前の日曜日」である「7月26日投開票」に変更をすべきです。

第3 東京都民の住民自治と政治活動の自由を実質的に保障するため
1 この間の選挙の教訓
 衆議院静岡4区補選、目黒区長選挙、福生市長選挙が取り組まれました。選挙運動は演説会や決起集会が行われず、屋外の選挙運動も自粛傾向でした。投票率は衆議院静岡4区補選が34.10%で過去最低、目黒区長選挙は33.33%、福生市長選挙は31.29%といずれも低投票率でした。
2 東京都内では市民的な自由が制限されている
 東京都は現在自粛要請中であり、東京都内では集会などの市民的な自由・政治活動の自由が実質的に制限をされています。
3 東京都民の住民自治を守る
 日本国憲法92条の「地方自治の本旨」には住民自治があり、地方自治は住民の意思が基づいて行われなければなりません。都知事の選挙は、住民自治の柱となる制度です。

第4 選挙は民主主義の根幹
 安倍首相は4月7日の参議院運営委員会で「選挙は民主主義の根幹をなすものであり、不要不急の外出に当たらない」と述べています。
 今回の都知事選挙においては、新型コロナウイルス感染防止のための医療体制(都立病院の独立行政法人化の是非を含む)、経済対策、1年後に延期された東京オリンピック・パラリンピックの問題等、都政における重要な問題が問われることになります。
 民主主義の根幹をなす選挙を実現し、東京都民が安心をして東京都政について議論をして都政の参加をする一歩として、東京都知事選挙の選挙日(投開票日)と告示(選挙期間)について以上の意見を表明します。

2020年5月12日
自由法曹団東京支部
支部長 黒岩哲彦
 
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