自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

羽田新飛行ルート実施の白紙撤回を求める決議

 政府は、本年3月29日からの羽田空港の増便に伴う新飛行ルートの実施を強行しようとしている。
 そもそも、羽田増便は、従前の航空政策と整合せず、十分な議論もないままオリンピック、観光立国等を口実になされたもので、東京一極集中を加速し、それ自体大問題である。
 しかも、羽田新飛行ルートは都内13区、埼玉県内6市及び川崎市に新たに影響を及ぼすものである。部品、氷塊といった落下物は不可避で、しかも飛行ルートの直下に限られない。騒音については事前に十分な調査はなされず、実機飛行の際には想定されていた騒音値より大きな騒音値が報告されている地点もある。
 落下物被害・騒音被害のほか、羽田新飛行ルートは、西側の米軍横田空域への侵入を避けるため、東側から2か所の地点で急旋回を強いるとともに、急角度(3.5度)の降下角での進入を強いるものである。前者はニアミス、後者は尻もち事故等の着陸事故の危険がある。その結果、羽田は世界一着陸が難しい空港になるとも言われている。
 こうした危険な羽田新飛行ルートについて、賛成を表明している市区はなく、品川区や渋谷区を始め、多くの自治体では見直し等を求める意見書が出されているが、政府はこれらを無視し、小池都知事もオリンピックの円滑実施に重要等として事実上追随している。新飛行ルートはオリンピックの期間だけでなく今後も続き、現時点では時間帯や場合が限られているが、それが拡大されない保証はない。
 都心で低空飛行をする以上、安全対策・騒音対策には限界があり、ましてや情報提供で被害が減少するわけでもない。一度事故が起これば大惨事であり、世界的に見ても都心上空に飛行機を飛ばさないようになってきている。危険極まりない羽田新飛行ルートは即時白紙撤回しかない。
 住民側では、「羽田新飛行ルートの賛否を問う区民投票条例」直接請求を目指す品川区民の運動等、多くの自治体で新飛行ルートに反対する住民運動があり、拡大強化されている。  自由法曹団東京支部は、危険極まりない世界的に見ても異常な羽田新飛行ルート実施の白紙撤回を求めるとともに、広範な住民運動とも連携してその阻止のために尽力するものである。

2020年2月22日
自由法曹団東京支部第48回定期総会
 
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