自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

大規模開発・大企業を優先する政治から、都民のための都政への転換を求める決議

 小池都政が誕生してもうじき4年が経とうとしている。小池都政は、当初、大規模開発を優先してきた石原都政と、その流れを引き継ぐ猪瀬、舛添都政からの脱却が期待されたが、結局、その方針は大きく変わらなかった。
 水道事業については、上水道に比較して都民の抵抗意識の弱い下水道を民間企業に売却する方針を明らかにしており、その後には都民の命を支える上水道の民営化をもくろんでいると考えられる。命を支える水を企業に売り渡すことは、世界の流れにも逆行し、水道料金の値上げなど、都民の生活を危険にさらすものであり、絶対に許されない。また、不採算医療等の行政的医療を担う都立病院についても、独立行政法人化を進めようとしているが、都民の命を守る最後の砦を失わせるものであり、許されない。
 強い反対を押し切って強行した豊洲市場においては、基準越えの有害物質が検出され、地盤沈下が原因と考えられる壁亀裂や死亡事故も含む様々なトラブルが発生しており、食の安全を守ることができていない。築地市場跡地に市場機能を残すとの約束も反故にするなど、都民に対して重大な裏切り行為を行っており、断じて許されない。
 東京オリンピック・パラリンピックに関しては、当初標榜した「コンパクトオリンピック」は見る影もなく、大会経費は当初予算の3倍を超える3兆円を超えるとの試算がなされている一方で、選手村跡地の異常な廉価払下げ、オリンピックを口実にした大規模会場の整備等、財界・企業へは莫大な投資を行っている。他方で、多くの批判を受けながら開催時期をずらすこともなく、酷暑の中で選手に競技を行わせ、ボランティア等のスタッフや学校事業として観戦する児童及び教育関係者らへの配慮を著しく欠いていると言わざるを得ない。到底、都民や選手の為のオリンピックとは評価しえない。
 道路関係についても、何ら合理的根拠のない木密地域の延焼防止などを掲げ、必要性のない特定整備路線の建設を推し進め、地域に根付いた商店街を断裂させ、代わりに超高層ビルを建設する計画を進める等、地域住民の生活の基盤を犠牲に、大企業に利益を与える政策を推し進めており、到底許されない。
 近時試験飛行も実施されて話題となった羽田新飛行ルートについても、オリンピックを口実にした増便を根拠に、多くの都民が生活する上空を超低空飛行で大型旅客機が飛行できるようにしようとしている。小池知事はこの新ルートを推進、歓迎している。しかし、かかる新飛行ルートの実施は、落下物や騒音等、都民に重大な被害を与えうるものであり、多数の地方議会で反対の声が挙げられている中、都民の声を無視して実施することは許されない。
 また、収賄による逮捕にも至ったカジノ問題に関しては、小池都知事は、カジノ誘致について「検討中」と明言を避けているものの、誘致のために多額の血税をつぎ込んで調査を実施している。ギャンブル依存症を招き、より都民から搾取するカジノ誘致は到底認められない。
 このように、小池都政は、大規模開発を優先し、財界・大企業への投資を増大させる一方で、都民の生活を顧みない政策を断行している。保育士給与引き上げ補助、待機児童・学童保育・特養ホーム等の整備目標の引き上げ等、一部福祉分野への施策を掲げたものの、全く不十分であると言わざるを得ない。
 本年は都知事選挙も予定されており、真に都民のための都政を形成する絶好の機会である。自由法曹団東京支部は、かかる大規模開発・大企業優先の都政を根本から転換し、真に都民の命と生活を支える都政へ転換することを求める。

2020年2月22日
自由法曹団東京支部第48回定期総会
 
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