自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

小池都知事による都立病院独法化方針に反対する声明

 小池百合子東京都知事は、2019年12月3日、都議会本会議における所信表明演説において、突然、都立病院を地方独立行政法人へと移行することを表明した。自由法曹団東京支部は、2019年2月23日、都立病院独法化の問題点を指摘し、反対する決議を発表しており、上記小池知事の方針に反対し、所信表明に強く抗議する。
 都立病院独法化は、都立病院の経営安定化のみを重視し、民間では困難な行政的医療の実施に不可欠であり、法的根拠に基づいてなされている一般会計予算からの繰入を「赤字」と表現したことに端を発している。しかし、かかる繰入れについては、都議会本会議でも改めて「赤字補填ではない」との答弁がされているところであり、都民の命と健康を守る砦である行政的医療を実施するために不可欠なものである。これを排除するために独法化を進めることは、都が行政的医療の役割を放棄するものであり、断じて許されない。
 2019年9月26日には、厚生労働省が全国424箇所の公立病院及び公的病院について、再編統合が必要であると名指しで指摘した。かかる指摘によって、全国で公立病院にかかる患者や病院関係者に不安の声が広がっている。そもそも、公立病院の設置者は地方自治体であり、厚生労働省が管轄するものではなく、国が主導して国民の生命と健康を守る公立・公的病院を名指して指摘すること自体、極めて不適切と言わざるを得ない。
 小池都知事の上記所信表明は、かかる国の方針に追随し、利用者負担の増加、行政的医療の切り捨てにつながるものである。実際、国や全国の自治体で独法化された病院においては、効率化と採算性が優先されるために不採算医療が切り捨てられ、医療費以外の患者負担が増える等、医療の重大化な切り下げが相次いでいる。他方で公立病院、公的病院は、その経営形態のまま、経営状態を改善させることに成功した例も複数ある。小池都知事の所信表明は、独立行政法人化ありきの発言であり、断じて許されない。
 したがって、自由法曹団東京支部は、上記小池都知事の方針に反対し、所信表明に強く抗議するとともに、直ちに、都立病院の独立行政法人化を進める方針を白紙撤回することを求めるものである。

2019年12月23日
自由法曹団東京支部 支部長 小部正治
 
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