自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

安倍9条改憲阻止のたたかいに全力をあげる決議

1 安倍首相は,2017年5月3日,改憲派の集会に寄せたビデオメッセージで,突然,9条1項・2項を残しつつ自衛隊を明文で書き込むという9条加憲による改憲を提起した。そして,安倍首相は,昨年10月2日の自民党総裁三選後の記者会見において,憲法改正についてはさらに議論を加速させ「次の国会での改正案提案を目指していく」として,安倍9条改憲の実現への強い意欲を改めて示した。
 このような安倍首相の姿勢に対して,「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が呼びかけた「安倍9条改憲NO!憲法生かす全国統一署名」(3000万署名)の大きな広がりや,安倍政権下で蔓延する権力の私物化や民主義破壊に強い批判が立ちはだかり,安倍政権は2018年通常国会でも,臨時国会においても改憲議論をまったく進めることができなかった。
 この3000万署名は,幅広い分野の団体・人々が「安倍9条改憲NO!」の一点で共同するというこれまでになかった取り組みであり,私たち自由法曹団東京支部も,昨年第46回定期総会において「3000万人署名をやり遂げ,安倍9条改憲阻止のたたかいに全力をあげる決議」を採択し,3000万署名に精力的に取り組んできた。

2 安倍9条改憲の本質的なねらいは,憲法9条に自衛隊を明記することにより,戦争を放棄した9条1項,武力の不保持を誓った9条2項を骨抜きにすることにある。あらたに憲法に明記される「自衛隊」は,これまでの自衛隊と異なり,9条2項による武力行使に関する制約なしに集団的自衛権のもとでアメリカとともに海外で戦争することができる存在となる。すなわち,憲法に「自衛隊」が明記することにより,軍事的な手段による国際紛争への介入が憲法上容認され,それに応じた戦力の保持,軍事的な制度の整備を推し進められ,戦争を放棄した9条1項や武力の不保持を誓った9条2項を空文化させることにある。

3 2018年10月の日本経済新聞社の世論調査によれば,「憲法改正には反対」が最多の37%,2018年12月の読売新聞社の全国世論調査でも,2020年の改憲施行を目指す安倍首相の方針に「反対」が47%,2019年1月に実施されたNHKの世論調査によれば,改憲論議を「早く進めるべき」は23%,「急いで進める必要はない」が50%,「憲法改正の議論をする必要はない」が14%となっており,安倍首相が押し進める性急な改憲論議に反対する世論が多数を占めている。
 それにもかかわらず,安倍首相は,主権者である国民世論を無視して,本年1月4日の年頭記者会見において「憲法は国の未来,そして国の理想を語るものでもある」,改憲議論は「選挙で負託を受けた国会議員の責務」であると述べ,改めて改憲実現への強い執念を示している。
 安倍9条改憲案の国会提出や国会における発議を阻止するためには,国会内での議員による安倍改憲反対の動きだけでなく,国会外の市民による安倍改憲反対の声を届けることが重要となってくる。3000万署名は,その活動を通じて,「安倍9条改憲NO!」に賛同・支持を広げる活動であり,国会発議を許さないゆるぎない国民的多数派を作る契機になっており,集められた署名は,まさに市民の間に「安倍9条改憲NO!」の声が広がっていることを示すものとなる。

4 私たち自由法曹団東京支部は,引き続き3000万署名に取り組み,憲法9条を守り生かす幅広い運動を広範に広げるとともに,今年,実施される参議院議員選挙において,安倍9条改憲に反対する候補者が一人でも多く選出され,改憲勢力が改憲発議に必要な3分の2の議席を確保することを阻止し,安倍9条改憲を断念させるためのたたかいに引き続き全力をあげることを,ここに決議する。

2019年2月23日
自由法曹団東京支部第47回定期総会
 
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