自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

オスプレイの米軍横田基地への正式配備に抗議する

 日本政府は、2018年8月22日、米空軍特殊作戦部隊のCV-22オスプレイ5機が同年10月1日に米軍横田基地に正式配備されることを発表した。
 米軍横田基地へのCV-22オスプレイの配備については、当初、2017年中に3機を配備するとされていた計画が、2019年10月〜2020年9月に延期されたにもかかわらず、2018年4月3日、突如配備前倒しが公表され、5機が初飛来してから約5ヶ月の間離着陸が繰り返され、事実上の配備状態が続いているところであった。
 オスプレイは、垂直離着陸と高速・航続距離の長さを特徴とし、敵地の強襲作戦や要人の暗殺、拉致、対テロ作戦などの特殊作戦を任務とする機体である。このような特殊攻撃的機体を米軍横田基地へ配備することは、同基地を日米共同の特殊作戦や海外侵略の最前線基地とすることにほかならない。日本国民の事前の了承のないままの米軍横田基地へのオスプレイ正式配備の強行は、米国の軍事優先主義と軌を一にするものであり、厳しく批判されなければならない。
 これまでにもオスプレイは、世界各地でたびたび重大な事故を起こしており、2016年12月13日、沖縄普天間基地所属の機体が名護市安部の海岸に墜落、大破する事故を起こし、2017年8月にも同基地所属の機体がオーストラリア東部クイーンズランド州沖合の海上に墜落、2018年8月14日には同基地所属の機体が奄美空港と米軍嘉手納基地に相次いで緊急着陸している。その原因も解明されないまま、横田基地へのオスプレイ正式配備を強行することは、国民生活の安全よりも米軍支配を優先するものであり、このような日本政府の姿勢は米軍による支配に服従する姿勢であり断じて容認することはできない。
 東京地方裁判所立川支部は、昨年10月11日あらためて横田基地周辺に居住する住民について、米軍機騒音による被害の発生を認定し、国に対して損害賠償の支払いを命じている。にもかかわらず、死亡事故を繰り返し、安全性に疑問があるオスプレイの正式配備を強行することは、基地騒音被害の根絶、国民の生命と安全、平穏な暮らしを求める国民の希望を踏みにじるものである。
 この間、2018年4月27日には、金正恩朝鮮労働党委員長と文在寅大統領による南北首脳会談が板門店で開催され、「朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言」が合意され、同年6月12日には史上初の米朝首脳会談が開催され、両首脳が署名した共同宣言では米朝両国が「平和と繁栄を望む両国民の願いに従って新しい米朝関係を樹立」し、「朝鮮半島に永続的で安定した平和体制を構築する」ことが約束された。同年9月19日、平壌で行なわれた南北首脳会談では、朝鮮半島の非核化に向けたミサイル実験場の永久的廃棄などを盛り込んだ「9月平壌共同宣言」に両首脳が署名し、南北が地上、海上、空中をはじめとする全ての空間において、軍事的緊張と衝突の根源となる相手に対する一切の敵対行為を全面中止することが明記された「板門店宣言軍事分野履行合意書」が締結された。こうした平和的な情勢の変化は、政府の主張してきたオスプレイ配備の必要性が失われていることを意味している。今回のオスプレイ正式配備の強行は東アジア地域の平和体制構築の流れに逆行するものであり断じて許されるものではない。
私たちは、日本国憲法9条・前文が定める国際協調主義に基づく平和主義の原則を堅持する見地から、米軍横田基地へのオスプレイ正式配備の強行に抗議し、日米両政府に対し、横田基地へのオスプレイ配備の撤回を求める次第である。

2019年9月19日

自由法曹団東京支部幹事会
 
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