自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

東京都迷惑防止条例の施行に伴い、条例の厳格な運用と廃止を求める幹事会決議

  1. 2018年3月29日東京都第一回定例会本会議において、東京都迷惑防止条例改正案が賛成多数により可決され成立した。本条例は、同年3月30日に公布され、同年7月1日に施行予定である。
  2. 東京都迷惑防止条例改正案は、つきまとい規制は、悪意の感情という曖昧な人の内心に踏み込む点で元々自白強要の恐れや、濫用される恐れがある等問題がある条例であった。今回の改正案では、監視していると告げることや、名誉を害する事項を告げることなどの新たな行為態様を規制するものである。特に名誉を害する事項を告げることは、刑法上の名誉毀損よりも広く処罰を可能にする点が、捜査機関による濫用の恐れをさらに助長するものであって、極めて大きな問題をはらんでいた。また、都民の表現活動を委縮させる点が憲法21条に反し、法律が処罰をしない趣旨である行為を処罰する点で、憲法94条に違反するものであった。
     表現の自由を侵害するこの迷惑防止条例の改正に対して、多くの都民が反対をし、日本共産党、生活者ネット、維新、立憲民主党の都議は改正案に反対をした。また、賛成した会派も、繰り返し警視庁幹部に対して、市民運動などに対して適用しない、濫用しないことを繰り返し質問せざるを得なかった。自由法曹団東京支部は、この改正案の成立に反対し、運動の先頭にたってたたかってきた。
  3. 本条例の施行に先立つ平成30年5月30日、警視庁は、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例に定める盗撮行為及びつきまとい行為等の取扱いについて」と題した通達を発出した。
     この通達には、「つきまとい行為等については・・・正当な理由があり、表現の自由で保護されるような各種活動は、本条例の対象とならないことに留意するものとする。」『「都民の権利を不当に侵害しないよう留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用することがあってはならない」との趣旨を十分に理解し、適切に運用するものとする』と適用上の留意事項が記載されている。
     この通達は、警視庁の内部規範であるが、これにこのような制限を明記させたことは、表現の自由という民主主義の根幹をなす権利を擁護する都民らの条例改正反対運動の大きな成果である。
  4. 本条例の施行にともない、警視庁が都民らの表現行為に対して、改正条例を濫用的に適用しないように絶えず監視をしていく必要がある。自由法曹団東京支部は、今後も、改正条例がどのように運用されているかを監視し、廃止をもとめる運動を継続していく。
以上
2018年6月21日
自由法曹団東京支部 支部長 小部正治
 
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