自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

小金井警察署による署名活動中の市民3名の不当連行・取り調べに対し断固抗議をする声明

 警視庁小金井警察署は、本年3月31日、市民3名による「安倍9条改憲NO! 憲法を行かす全国統一署名」を集める活動について、住居侵入罪を構成するとの嫌疑をかけ、当日、3名をなかば強制的に現場から本署に連行したうえ、取り調べを行なった。
 市民3名は、当日、小金井市緑町1丁目所在のマンション内において、各戸を回り、署名活動を行なった。このマンションは、エントランス等共用部分への出入り口ドアなどはなく、誰でもがマンション内に立ち入り、各戸口のドアのところまで行けるような構造になっている。また、マンション内には1階と2階に9戸ずつの居室があり、1階と2階の間は外階段で行き来することができる。このように、当該マンションについては、来訪者において、マンション前面道路から扉やドアなどを1度も開け閉めをすることなく、直接各戸のドア前まで移動をすることが予定されているものと認められるような構造になっている。市民3名は、このような構造のマンション内の各戸を訪ね、各戸のドア横に設置されているインターホンを押して、署名への協力を呼びかけていたのであり、署名活動は、きわめて平穏な態様にて行なわれた。

 署名活動の自由は、言うまでもなく、憲法上の表現の自由の一環として厚く保障されなければならない。また、署名活動は、国民が請願権を行使するうえで欠くことのできない重要な手段であるとともに、国民の参政権を実質化するものとして、民主制の発展に資するものであるということも言うまでもない。ましてや、市民3名が集めようとしていた署名は、最高法規である憲法について、主権者である市民が語り合い、署名を通じて憲法改正についての意思を表明しようとするものであって、まさに国民主権を行動によって具体化するものにほかならないのである。

 憲法上の権利の行使である署名活動を、非常に開放的な構造のマンション内にて、平穏な態様で行なっていた市民3名について、「正当な理由」のない立ち入りとして住居侵入罪が成立するなどということはありえない。しかるに、小金井警察署の警察官は、3名の署名活動を犯罪視する立場から、不当にも、3名を連行したうえ、3名に対し、所属団体、署名活動の目的、当日の行動計画の具体的内容等本来自由であるべき市民の活動内容について、取り調べを行なったのであった。以上のような小金井警察署による市民3名の連行や、取り調べは、署名活動の自由を妨害し、民主主義を否定する暴挙と言わざるをえない。

 自由法曹団は、戦前から一貫して、国民の権利、自由、そして平和を擁護する立場から活動を行なってきた。自由法曹団東京支部は、小金井警察署に対し、このような不当連行や取り調べについて、つよく抗議をするとともに、違法不当な捜査の対象とされた市民3名に対する真摯な謝罪を求めるものである。

2018年5月10日
自由法曹団東京支部 支部長 小部正治
 
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