自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

東京都迷惑防止条例改正案成立に断固として抗議し撤回を求める支部長声明

  1. 2018年3月29日東京都第一回定例会本会議において、東京都迷惑防止条例改正案が賛成多数により可決され成立した。自由法曹団東京支部は、満身の怒りを込めて改正案の成立に抗議をする。
  2. 東京都迷惑防止条例のつきまとい規制は、悪意の感情という曖昧な人の内心に踏み込む点で従来から自白強要の恐れや、濫用される恐れがある等大きな問題があった。
     加えて、今回の改正案は、監視していると告げることや、名誉を害する事項を告げることなどの新たな行為態様を規制するものである。特に名誉を害する事項を告げることは、刑法上の名誉毀損よりも広く処罰を可能にする点が、捜査機関による濫用の恐れをさらに助長するものであって、極めて大きな問題をはらんでいる。また、都民の表現活動を委縮させる点が憲法21条に反し、法律が処罰をしない趣旨である行為を処罰する点で、憲法94条に違反するものである。
  3. 極めて大きな問題をはらむ改正案の提案に際して、警視庁はこのような条例を制定すべき立法事実の根拠となる統計を説明できなかった。民主主義国家では、法令を制定するに際して立法事実の根拠を示すことは当然のことである。したがって、立法事実の根拠を示せないまま条例案を提案することは、都民の代表である都議会を軽視しするものであり、ひいては民主主義を軽視する暴挙である。
     このような条例案は廃案しかないことは明白であるが、本会議で、都民ファースト、自由民主党、公明党、かがやけTokyo、民進党は成立に賛成をした。明らかに民主主義への理解を欠く不誠実な態度であり、同時に、都民の表現の自由等を擁護する視点が欠如していると断ぜざるを得ない。
  4. 改正案に反対する都民の声は大きなうねりとなって都議会へ様々な形で届けられた。
     改正案のような治安立法へと転用される恐れのある法令に対して、都民が大きな関心を抱いている証左である。
  5. 自由法曹団東京支部は、濫用の恐れがあり、憲法に違反し、都民の世論に反する改正案の成立に断固として抗議し廃止を求めるものである。
     一方で、警察幹部は東京都議会警察消防委員会において、労働運動、市民運動、取材活動は正当な権利行使のため条例の対象外とすると答弁した。私たちは、広範な都民とともに、改正案が成立した後も委縮せずに自由な表現活動を継続し、濫用的な適用がなされないよう、監視をおこなっていく所存である。また、改正案と同様の趣旨の条例が全国に波及しないよう広く呼びかけ運動を継続していくことを決意する。
自由法曹団東京支部 支部支部長 小部 正治
 
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