自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

東京都議会警察消防委員会の東京都迷惑防止条例改正案の採決に断固として抗議し撤回を求める支部長声明

  1. 2018年3月22日、東京都第一回定例会の警察消防委員会において、東京都迷惑防止条例改正案(以下「改正案」という。)が、日本共産党を除く各会派の賛成多数により可決された。自由法曹団東京支部は、警察消防委員会による改正案の可決に断固として抗議し、撤回を求める。
  2. 改正案は、2018年東京都第一回定例会に警視庁から提案され、警察消防委員会でわずか1時間程度の審議により可決された。改正案が捜査機関により濫用され、市民運動、労働運動、社会運動が規制の対象となる危険性があることは、「自由法曹団東京支部第46回定期総会決議」、「東京都迷惑防止条例改正に反対する意見書」、「東京都迷惑防止条例改正に反対する意見書(2)」で繰り返し述べてきたとおりである。
  3. このように、極めて大きな問題点をはらむ改正案が提案されたが、警視庁幹部は、2018年3月19日の警察消防委員会で、改正案の改正理由である立法事実の根拠となる統計などを示すことができなかった。条例を提案するに際して、立法事実の根拠となる事実を議会に説明することは、民主主義国家として当然の要請である。これを説明できないにもかかわらず、改正案を提案したことは、あまりに都民の代表である議会と民主主義を軽視していると断ぜざるを得ない。一方で、立法事実の根拠となる事実を十分説明されないまま可決をした警察消防委員会は、都民の代表としての資質を欠くと言わざるを得ず、採決を撤回し、改正案を廃案にすべきである。
  4. また、警察消防委員会で、警視庁幹部は、改正案について「正当な理由のある、市民運動、労働運動、社会運動」には、改正案を適用しないと答弁した。しかし、正当な理由があるか否かは捜査機関である警察が判断するものであり、依然として濫用の危険はなくなるものではない。小池百合子知事は、16日の定例会見で、条例が濫用される可能性についての記者の質問に、「『基本的にはない』というふうにお答えしたい。また、ないようにしなければならない」と述べたと報道されている。これは濫用の危険があること暗に認めたものといえる。こうした欠陥のある条例は慎重に議論するべきで拙速に成立させることは許されない。
    すでに、捜査機関による改正案濫用の危険に危機感を募らせた都民が都庁に詰めかけ、マスコミが大きく取り上げる事態となっている。都議会は、都民の世論の高まりに耳を傾けるべきである。
  5. 自由法曹団東京支部は、自由と民主主義を擁護する法律家団体として、都民の表現活動を委縮させる恐れのある改正案を警察消防委員会が採決したことに断固として抗議し、撤回を求めるものである。
以上
2018年3月23日
自由法曹団東京支部
支部長 小部 正治
 
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