共謀罪法の発動を許さず,廃止を求める決議
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安倍政権は,戦争する国づくりを進めるべく,治安強化の動きを加速させており,2017年6月15日に共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)を強行採決し,同法は同年7月11日に施行された。
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共謀罪法の審議にあたって,衆議院法務委員会では,政府は野党議員の質問にまともに答える姿勢を放棄して「一般市民は捜査の対象にもならない」などと根拠のない答弁を繰り返したり,大臣に答弁を求めたにもかかわらず政府職員が答弁を行ったりした。また,参議院での審議では,法務委員会での採決を行うことなく,「中間報告」という方法に仮託して本会議を開催し,採決を強行した。
このように,共謀罪法は,かつてない異常な審議経過を辿り,十分な審議が行われることなく強行裁決されたものであり,政府・与党の姿勢は,もはや民主主義国家の体をなしているとは言えない。
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共謀罪法は,他人の権利・財産などへの侵害の危険性が具現化していない曖昧な計画(合意)の段階で国家が処罰権を発動する点で,国民の内心の自由,正当な言論や表現の自由を抑圧し,適正手続原則に反するものであり,憲法19条,21条,31条に違反する。
また,共謀罪法は,約300もの犯罪について「共謀」の段階から処罰対象とするものであり,行為原理・既遂処罰を基本としてきた我が国の刑法体系を根本的に変え,国民の自由な行動を大きく制限するものであるうえ,「準備行為」「組織的犯罪集団」などという範囲が不明確な要件が入っており,罪刑法定主義に反するものである。
さらに,共謀罪法は「共謀」そのものを処罰対象としていることから,捜査機関が共謀罪の捜査において共謀自体を発見するために,監視活動・情報収集活動を強化することは必定であり,これまで以上に,国民の行動,会話,電話,メールなど,人の合意のためのコミュニケーションそのものが監視対象とされることは明らかである。
このように,共謀罪法は,国民の自由な活動を萎縮させ,捜査機関にさらなる捜査権限を与え,監視社会を一層深刻化するものと言わざるをえない。
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自由法曹団東京支部は,法案市議段階から共謀罪法の危険性を周知するべく,街宣,集会,国会請願デモなど様々な活動に積極的に取り組んできた。今後も,共謀罪の発動を許さず,同法を廃止させるために引き続き全力を尽くすことを表明する。
2018年2月24日
自由法曹団東京支部第46回定期総会