自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

辺野古新基地建設に反対し、沖縄県が国に対して提訴した差止訴訟を支持する支部長声明

  1. 沖縄県は、2017(平成29)年7月24日、「普天間飛行場代替施設建設事業にかかる岩礁破砕等行為の差止請求」につき、那覇地方裁判所に訴えを提起し、これとともに、沖縄県知事の許可を受けることなく岩礁破砕等行為をしてはならない旨の仮処分命令を求める申立てを行った。
  2. 安倍政権は、なりふり構わず対米従属の姿勢を続け、沖縄の民意を踏みにじり辺野古新基地建設を強行するために、解釈で法令を捻じ曲げ、恥も外聞もなく違法行為を行っている。
     沖縄県漁業調整規則39条1項は「漁業権の設定されている漁場内において岩礁を破砕し、又は土砂若しくは岩石を採取しようとする者は、知事の許可を受けなければならない。」と定めている。現在基地建設が進められている水域は名護漁協の「漁協権の設定されている漁場」に該当する。そのため、沖縄防衛局が行う辺野古新基地建設には、沖縄県知事による岩礁破砕許可が必要である。
     沖縄防衛局は、2014(平成26)年8月28日に、2017(平成29)年3月31日期限の岩礁破砕許可を受けていたが、その後再申請をせず破砕許可の期限が経過したにもかかわらず、現在まで護岸工事を強行している。その口実として、名護漁協が、2013(平成25)年3月11日に漁業権の一部を放棄し、漁場の区域を縮小したため現在基地建設が進められている水域は名護漁協の「漁協権の設定されている漁場」に該当しないためなどと主張している。しかし、漁業法22条は漁業権者の意思に基づく漁業権の「変更」については変更免許によると規定しており、漁場の縮小がこの「変更」に当たることは従前の確立した解釈であった。すなわち、私人である漁協の総会決議の他に変更免許なくして漁業権の変更はできない。
     したがって、安倍政権が辺野古新基地建設を強行するためだけに、漁業法の解釈を恣意的に捻じ曲げていることは明らかである。このような安倍政権の行為は、法治国家の政権としてあり得ないものであり、即刻退陣するべきである。
  3. 沖縄では、繰り返し新基地建設反対の民意が示されている。2014(平成26)年1月の名護市長選挙、同年9月の名護市議会選挙、同年11月の知事選挙、同年12月の衆議院選挙、及び2016(平成28)年7月の参議院選挙では、辺野古新基地建設に反対する側が勝利を続けてきている。しかし、安倍政権は一貫して対米従属の姿勢を崩さず、辺野古新基地、高江ヘリパッドの建設を強行し続けるにとどまらず、2016(平成28)年12月13日夜から14日未明にかけて墜落した米国のオスプレイについては、事故原因の究明さえせずに飛行訓練再開を容認している。住人の民意を反映すべしとの住民自治という憲法の基本原則さえ順守せず、国民のいのちと暮らしよりも対米従属を優先する安倍政権を許してはならない。
  4. 自由法曹団東京支部は、自由と民主主義、基本的人権を擁護する法律家団体として、憲法・法令を守らず、沖縄の民意を踏みにじる安倍政権に対して断固抗議するとともに、沖縄県が国に対して提訴した差止請求と仮処分を全面的に支援し、沖縄県民の民意に連帯してたたかう所存である。
2017年8月
自由法曹団東京支部支部長
 
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