自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

戦争法の廃止を求め、明文改憲阻止のたたかいに全力をあげる決議

  1. 日本国憲法は、絶対主義的天皇制下の日本軍国主義がもたらした太平洋戦争における国内外の夥しい殺戮と破壊の猛省の上に、反ファシズム陣営が提起したポツダム宣言を受諾した日本政府が、「民主主義的傾向の復活強化」「基本的人権の尊重」「平和政府の樹立」「国民の自由意思による政治形態の決定」などの事実上の憲法改正の法的義務を負ったことによってもたらされた。そのことは、憲法前文の「諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって事由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないよう決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」という文言に結実している。同草案が公表されたとき、国民の圧倒的多数が熱烈にこれを支持したことも決して忘れるべきではない。
  2. それから70年。主として憲法第9条と安保条約をめぐるせめぎ合いの結果、9条の歯止めの下、わが国は自ら戦争を起こすことはなく、また自衛隊員は自ら海外で1人も殺さず直接には殺されずに、今日に至った。再軍備を放棄し海外で戦争しない国と変貌した日本国の「平和のブランド」は、今や海外で活動する日本人の誇りであり、守り手と言えるであろう。
     しかし、「戦後レジームからの脱却」を標榜する安倍首相とそれを取り巻く「日本会議」などの改憲勢力は、昨年9月19日、立憲主義をくつがえし民主主義をかなぐり捨てて憲法9条の平和主義を破壊する戦争法を成立させ、戦争する国づくりにまい進している。また世界中の痛ましいテロ事件などの多発に乗じて、南スーダンにおけるPKO活動での自衛隊業務と武器使用の拡大、ISを軍事攻撃する米軍などへのジブチを拠点とする自衛隊の支援などを画策し、さらには北朝鮮の「水爆実験」や「ミサイル発射」などの挑発、中国の南シナ・東シナ海などへの軍事的な進出に対し、米軍とともに軍事的対応で臨むことを目指している。さらに今年の通常国会の冒頭から安倍首相自身が、武力攻撃・社会秩序混乱・自然災害などの「緊急事態」に際して、首相が、憲法秩序を一時停止して立法・行財政の大幅な権限を握り、人権保護規定を緩和するなどの措置をとって秩序維持を図る権限を持つ「緊急事態条項」の創設を明文改憲の第1歩とする意図を明らかにし、来る7月の参院選で自公与党以外も含む「改憲勢力で3 分の2議席」を得ることへの意欲を繰り返し公言している。
  3. 事態は、風雲を告げている。私たちは、今、「戦争させない・9条壊すな!総がかり実行委員会」の提起した戦争法の廃止を求める2000万人統一署名を、本年5月3日迄を目途に全国で集めている。また、統一署名の目的である@「平和安全保障関連法」の廃止、A立憲主義の原則堅持と憲法9条を守るため、選挙で野党候補の統一をすることを強く求めている。他方で憲法の明文改悪をめざす企みも、神社本庁による改憲推進署名集めが参拝客目当てに行われるなど、草の根で対決が始まっている。これに反撃し、憲法9条を初めとする憲法の擁護を広く国民の声とするため、私たちは、戦争法の廃止、立憲主義の回復、個人の尊厳を擁護する政治の実現を目指し、2000万人統一署名を共通の基礎としてたたかう。それとともに、@格差・貧困の拡大や雇用の不安定化に反対し、公正な労働条件や税制にもとづく国民経済の確立、Aマスコミや教育現場などにおける言論の自由の擁護、B沖縄の民意をふみにじる辺野古新基地建設の中止、C脱原発と再生可能エネルギーの振興、D秘密保護法・盗聴法拡大、司法取引や共謀罪新設反対など、安倍暴政ノーの声を世論とする広範な運動を広げなければならない。
  4. 昨年の戦争法案廃止運動の高揚は、さまざまな思想や立場をもつ労働団体や市民団体、弁護士、学者、若者、女性、各野党などをひとつに団結させ、安倍政権の土台を大きく揺るがした。この力に確信をもち、戦争法の廃止を広く訴え、国会に戦争法廃止法案の公正な審理を求めつつ、明文改憲阻止のたたかいに全力をあげることを、ここに決議する。
2016年2月27日
第44回自由法曹団東京支部総会
 
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