自由法曹団 東京支部
 
 
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団支部の活動紹介

警視庁機動隊の即時撤退、辺野古新基地建設即時中止を求める

 沖縄は1879年に日本に併合されて以来、自己決定権を奪われ、人権を侵害されてきた。沖縄戦では壮絶な地上戦を強いられ、20万人以上(うち県民は約12万人)が犠牲となり、戦後、27年におよぶ米軍の占領を経て、本土「復帰」後も現在に至るまで米軍基地による被害は続いている。だからこそ、昨年行われた4回もの選挙で「米軍基地拒否」の明確な民意が示されたのである。
 もし新基地が建設されてしまえば、米軍基地による被害の拡大は避けられない。昨今では、「対テロ」という名目で、世界中で軍備が増強され、世界は混乱し危機的状況にある。過去に米国が主導した朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争のように、沖縄の基地から米兵が飛び立ち、さらなる戦争被害を生み出してしまう苦しみを、またしても沖縄の人々に背負わせてしまうことになる。
 辺野古新基地建設の強行は、戦争放棄を定めた憲法9条、地方自治権を定めた憲法92条、94条に違反する暴挙である。法的瑕疵のある埋立て承認を取り消す知事権限を奪う代執行を請求したことは地方自治法の濫用である。現地では、どんなに声を上げても民意が聞き入れられず、不当に強行される工事を止める最後の手段として、工事車両を止めるための座り込みや、工事をさせないために海上で抗議行動が行われている。これら非暴力の抗議行動は、違憲・違法な基地建設に対する正当行為であり、憲法21条「集会の自由・結社の自由・表現の自由」の行使である。
 ところが、政府は、11月4日に警視庁機動隊を配備して座り込む市民を強制的に排除し、市民への暴力、不当逮捕を繰り返している。座り込む市民を相手に訓練された機動隊員が数人がかりで座り込み現場から排除し、殴る、蹴るなどの暴力を振るい、負傷者が続出し、救急搬送者も出ている。非暴力で座り込む市民への警察の暴力的介入は、警察法2条2項「警察の活動は、・・・不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。」に明確に違反する。
 「本土」の機動隊員が沖縄に乗り込み、沖縄県民を排除する行為は、「本土」の加害者性の無自覚、沖縄の歴史と痛みへの無理解という恥ずべき側面を公然と上塗りするものである。都民の血税で成り立つ警視庁の費用が、そのような行為に使われることは許されない。
 自由法曹団東京支部は、戦争に反対し憲法と人権を擁護してきた東京の法律家団体として、警視庁機動隊の即時撤退、辺野古新基地建設の即時中止を要求する。

2015年12月17日
自由法曹団東京支部
支部長 須藤 正樹
 
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