自由法曹団 東京支部
 
 
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支部の意見書・声明[2015年]

元朝日新聞記者植村隆氏とその関係者及び弁護団に対する脅迫
・業務妨害行為を強く非難し、言論・表現の自由を守り抜く声明


  1. 元朝日新聞記者の植村隆氏は、かつて元日本軍慰安婦であると初めて名乗り出た女性について書いた記事に対し、その記事は「捏造」であるとした週刊誌発刊会社等を被告として、本年1月9日、東京地方裁判所に名誉棄損訴訟を提起した。さらに2月27日には、同じく植村氏の報道記事を「捏造」としたジャーナリストらを被告として、札幌地裁にも名誉棄損訴訟を提起した。
     植村氏に関しては、昨年来、本人はもとより、その家族、同氏が勤務する北星学園大学及びその関係者に対する脅迫等が行われ、現在でも続いている。さらに、本年2月7日及び同27日には、上記東京訴訟の弁護団事務局長事務所宛てに、植村氏の記事に関連する内容とともに植村氏の家族を侮辱する極めて卑劣な内容が記載されたファックスが延々十数時間送り続けられたという業務妨害が発生した。
  2. 植村氏とその家族、勤務先やその関係者に対する脅迫行為、さらには弁護団活動の中心事務所に対する業務妨害行為は、報道の自由、言論・表現の自由に対する違法な侵害行為であるとともに、これらの自由を擁護するための弁護士たちの職務遂行に対する重大な妨害行為である。このような卑劣極まりない犯罪行為を座視することは、わが国の民主主義社会に対する破壊行為を見逃すことにほかならない。こうした行為を許さない批判の声を広くあげるとともに、捜査当局が、犯罪行為として厳正な法的措置をとることを求めるものである。
  3. こうした一連の行為は、日本軍慰安婦問題に関する報道等を攻撃してこれを委縮させ、ひいては日本軍慰安婦の存在そのものを否定しようとする動きに結びつくものである。そして、戦前の軍国主義や侵略戦争を美化して復古的改憲を強引に進め、政権に批判的な言論・報道を抑圧しようとしている安倍政権の姿勢により鼓舞されているものである。
  4. 自由法曹団東京支部は、本年2月27日、28日の東京支部の総会でも弁護団事務局長本人の訴えを踏まえて、この問題について議論し、3月の幹事会において、この言論・表現の自由を抑圧しようとする策動を許さないため、この声明を発することを決定した。引き続き、こうした策動を許さない取り組みに全力を挙げるものである。

2015年3月31日
自由法曹団東京支部
支部長 須藤 正樹

 
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