自由法曹団 東京支部
 
 
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支部の意見書・声明[2015年]

憲法9条改正に反対し、閣議決定法制関連法案に反対する決議


  1. 安倍政権は昨年7月1日の閣議決定で、歴代政府が一貫して否定してき集団的自衛権行使を容認する憲法解釈の変更を行った。この閣議決定を受け、集団的自衛権の行使を拡大するための「存立事態」の導入、自衛隊の海外派遣や多国籍軍への関与を大幅に拡大する「恒久法」の制定、「周辺」概念を取り払い米軍以外の他国の支援を可能とする法改正等、安全保障法制の整備を今国会中に実現しようとしている。
     同時に、現在米国との間で協議が進んでいる日米ガイドライン改定でも、平時から有事までの切れ目のない事態で、極東に限られないあらゆる場所において、間断なく米軍と自衛隊が緊密に連携し、軍事行動を展開することが目論まれている。このような法制化が実現すれば、自衛隊の海外での武力行使は事実上際限なく拡大し、日本国憲法が掲げた徹底した平和主義の理念は、有名無実と化すことになる。
  2. さらに安倍首相は、来年行われる参議院選挙後に勝利し、国会議員の3分の2以上の議席を獲得した後に、憲法改正の発議、国民投票を行う考えを表明した。時期は早ければ来年中、遅くとも再来年の春とも言われている。改正項目は国家緊急権や環境権の創設等が言われているが、焦点は明らかに憲法9条である。憲法9条の明文改悪を、自らの首相在任中に実現するというのが、安倍首相の強い意思である。
  3. 戦前の日本軍国主義は、アジアと日本に膨大な被害者を生み、敗戦という形で敗れた。多数の犠牲者を生んだ戦争への反省の上に立ち、日本国憲法は、あらゆる意味で戦争を否定し、戦力を放棄し、交戦権も否定した徹底した平和主義の立場に立った。戦後の米国の世界支配戦略の中で、日本は日米同盟に組み込まれ自衛隊が生まれたものの、憲法9条により海外への派兵は認められず、日本の防衛は専守防衛に限定されてきた。
     しかし、安倍首相は「積極的平和主義」の名の下で、こうした日本国憲法の制約を取り払い、世界規模での日米の軍事行動を可能とし、日本を「戦争をする国」に作り変えようとしている。そのことは、北東アジア、特に経済的・政治的・軍事的に台頭する中国との関係で軍事的な緊張関係を生み、この地域の平和と安全への脅威となっていくことを意味する。また、国内的にも、軍事国家への道は、民主主義を否定し、国民の人権を制約し、社会保障等を後退させ、弱者切り捨て社会の出現を意味する。
  4. 私たち自由法曹団東京支部は、安倍政権の憲法破壊、「戦争する国」作りに断固として反対し、広く国民と連帯し日本国憲法を生かした、豊かな暮らしの日本を実現するべく奮闘する決意である。

2015年2月28日
自由法曹団東京支部 第43回支部総会

 
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