自由法曹団 東京支部
 
 
トップページ 支部の意見書・声明 2015年

団支部の活動紹介

支部の意見書・声明[2015年]

安倍政権の教育「再生」に反対する決議


  1. 戦後70年の節目を迎える今年、第3次安倍政権は憲法改悪に向けての動きを加速させ、「戦争する国」づくりと「企業が世界で一番活動しやすい国」づくりを狙っている。そして、それを支える人材づくりが、安倍教育「再生」に他ならない。
     安倍教育「再生」は、教育現場に露骨な競争主義・成果主義を持ち込み、国家主義的・復古主義的教育観を徹底させるものであり、「子どもの成長発達のため」という教育の本来の目的のためではなく、国の経済発展のための教育を目指している。安倍教育「再生」の動きは、様々な形で押し広げられ、学力調査問題、教育スタンダード問題、「学制」改革問題、教職員に対する管理・統制の強化、大学の制度改革など、問題は多岐にわたっている。
  2. なかでも2015年特に重大な問題となるものの一つが、夏に予定される中学校教科書採択の問題である。2015年は2014年1月に改悪された義務教育諸学校教科用図書検定基準及び高等学校図書検定基準に基づき検定合格とされた教科書について、初めて採択が行われることとなる。こうしたなか、「新しい歴史教科書をつくる会」(以下「つくる会」)系の教科書採択を許すか否かが重要なたたかいになっている。アジア近隣諸国を蔑視し、日本の侵略戦争・植民地支配を正当化し、戦争を美化・肯定して自衛隊の海外派兵推進をする「つくる会」系の教科書は、子どもたちに間違った歴史・憲法認識を植え付けるものである。その採択を阻止しなければならない。
  3. さらに、喫緊の重大問題となるのが、道徳の教科化問題である。
     2014年10月、中央教育審議会は「道徳に係る教育課程の改善等について(答申)」をとりまとめ、下村文部科学大臣に提出した。答申では道徳教育は「教育の中核をなすべきもの」と位置付けたうえで、@現行の道徳の時間を「特別の教科 道徳」(仮称)として、その目標、内容、教材や評価、指導体制のあり方など全般的な見直しをすること、A「特別の教科 道徳」(仮称)を「要」として学校の教育活動全体を通じてより確実に展開することを目的に教育課程を「改善」するとした。このように道徳が教科化されることにより、国家が肯定する特定の価値観を児童生徒に強制し、ひいては、憲法・子どもの権利条約が保障する個人の尊厳、思想良心の自由、意見表明権等を侵害することとなるのであり、日本国憲法の下での学校教育において是認される道徳教育の範囲を明らかに逸脱するものである。
  4. 自由法曹団東京支部は、日本国憲法を守り、子どもの権利を守るという観点から、かかる安倍教育「再生」に反対し、「つくる会」系教科書の採択及び道徳の教科化に断固反対するものである。

2015年2月28日
自由法曹団東京支部 第43回支部総会

 
自由法曹団東京支部 〒112-0014 東京都文京区関口一丁目8-6 メゾン文京関口U202号 TEL:03-5227-8255 FAX:03-5227-8257