自由法曹団 東京支部
 
 
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支部の意見書・声明[2014年]

東京都議会における女性差別発言に対する事実の解明と厳正処分を求める


  1. 2014年6月18日、東京都議会第2回定例会において、塩村文夏都議の一般質問中、会場の複数人から女性を蔑視する不規則発言(ヤジ)があった。
     新聞報道等によれば、「早く結婚した方がいいんじゃないか」の不規則発言の後、男性の声で「自分が産んでから」「がんばれよ」との発言が続き、また、塩村都議が、悩みを抱える女性への対策に関する質問をした際には「先生の努力次第」と男性の声があがり、女性の不妊に関する質問のときには「やる気があればできる」との発言であったとされる。このうち、「早く結婚した方がいいんじゃないか」との発言は、鈴木章浩都議が発言を認め塩村議員に謝罪した上、会派離脱を表明したが、同議員は議員を辞職しないとしている。
  2. 鈴木都議らの上記不規則発言は、様々な理由で結婚ができない女性や、不妊に悩む女性、その女性とともに悩む配偶者、家族、関係者すべての人格を侮辱し、蔑む差別的発言であり、人格権を侵害する違法行為である。特に性や生殖についての自己決定権を侵害している点で、きわめて悪質な女性差別発言と言うべきである。
     都議会は、いうまでもなく、都民に信託され、都民を含めた国民の基本的人権を尊重し、人権擁護の模範として都の運営をする場である。そのような都議会本会議場において、公然と人権侵害発言がおこなわれたことは、きわめて重大なことである。
  3. 事実を認めた鈴木議員も当初は発言を否定し、自民党石破幹事長の「自ら名乗り出るべき」という発言をうけ6月23日にようやく名乗り出ている。また鈴木議員以外の発言者は、未だに自ら名乗り出ていない。鈴木議員をふくめ発言者の態度は、姑息と言うべきもので、人権感覚が欠如し、人権を擁護すべき立場にある都議にふさわしくことは明かである。発言者は今すぐ名乗り出たうえ、議員を辞職すべきである。
     都議会は、本会議中の発言者を特定し、議員辞職を勧告すべきである。しかるに、都議会は、同月25日、「都議会の信頼回復に関する決議」を賛成多数で可決させ、発言が判明した鈴木都議以外の発言者を特定する調査を行わず、鈴木都議を含めて都議会として処分しないこととした。都議会が、本会議で公然とおこなわれた人権侵害の事実解明と責任追及を放棄することは、議会としての見識を疑わせるものであり、到底許されるものではない。
  4. 以上の通り、求められるのは徹底した事実関係解明と、発言をした都議にたいする厳しい処罰である。この点を曖昧にして本件の幕引きは許されない。自由法曹団東京支部は、徹底した事実解明と責任追及を強く求める。

以上

2014年7月4日
自由法曹団東京支部 支部長 宮川泰彦

 
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