自由法曹団 東京支部
 
 
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支部の意見書・声明[2014年]

雇用破壊、生活保護法制の改悪に反対する決議


  1. 2013年6月14日、安倍内閣は日本再興戦略及び規制改革実施計画を閣議決定した。閣議決定では、@「限定正社員」制度の整備、普及、A労働時間法制の見直し、B有料職業紹介事業の規制改革、C労働者派遣法の見直しが具体的な規制改革項目として打ち出された。安倍内閣は、閣議決定に基づき、「世界で一番企業が活動しやすい国」を目指し、「行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型へ」とのかけ声のもと、雇用ルールを破壊する労働法制改悪への動きを加速させている。
  2. 多様な正社員の普及、拡大を目指すとする「限定正社員」制度の整備は、その実、正社員を解雇しやすく低賃金の「限定正社員」へと移行させ、整理解雇法理を骨抜きにして正社員の解雇規制を破壊するものである。労働時間法制の見直しは、「新たな適用除外」と銘打って、ホワイトカラーエグゼンプションを復活させることを目論むものである。労働者派遣法の見直しは、常用代替禁止の基本原則を投げ捨て、業務区分及び業務単位での期間制限を撤廃し、労働者個人単位の期間制限へと規制手法を大きく転換し、派遣先が無期限、無制限に労働者派遣を使用し続けることができることを狙うものである。まさに派遣労働者の拡大・永続化法に他ならない。このように、安倍政権は、労働者の生命・身体を保護するための規制を悉く撤廃し、企業の利益のため、雇用ルールを解体し、徹底的に企業にとって使いやすく、首を切りやすい労働者を作り出すことを狙っている。
  3. このような雇用破壊が実現されれば、労働者の貧困が一層拡大することは言うまでもない。ところが、安倍内閣は、2013年度予算において、生活保護の生活扶助基準額を平均6.5%、最大10%引き下げ、3年間で生活保護費を総額670億円削減することを決定するなど、社会保障を切り捨てて国民の貧困を拡大し、生活を困窮させる政策をも推し進めている。すでに生活保護費の段階的削減が開始されているが、生活保護世帯のみならず、その周辺の低所得者層をも直撃し、国民の相対的貧困率や格差の広がりは過去最悪を更新した。
  4. さらに、2013年12月6日、安倍内閣は、特定秘密保護法の審議の陰に隠れて、審議不十分のまま「改正」生活保護法を成立させた。「改正」生活保護法は、違法な水際作戦を合法化し、親族の扶養義務を強化することで生活保護申請をさらに萎縮させる明らかな欠陥法であり、直ちに廃止されなければならない。
  5. 安倍政権は、一部のグローバル企業に富を集中し、広範な低賃金・不安定雇用の労働者を作出して貧困を一層拡大する、戦後最大の労働法制改悪の実現を狙っている。加えて、自己責任と家族の助け合いを名目に、国民の生存権を保障するための国の最低限の責務さえ放棄する国作りを進めている。
     自由法曹団東京支部は、安倍政権の労働法制大改悪に反対し、人間らしく働くルールの確立を求めるとともに、社会的・経済的に自立できるような雇用の安定、社会保障の充実、貧困や格差の是正に向けて、全力を挙げて奮闘する決意である。

2014年2月22日
自由法曹団東京支部 第42回支部総会

 
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