自由法曹団 東京支部
 
 
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支部の意見書・声明[2014年]

共謀罪創設に反対する決議


  1. 安倍政権は、特定秘密保護法成立に引き続き、「共謀罪」新設法案(「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」)を、あらためて本年の通常国会に向けて提出する方向で検討に入ったとされている。
     政府は、2000年11月の「国連越境組織犯罪防止条約」採択を理由に共謀罪の成立を目指していた。しかし2003年以降3度に渡って国会に法案が提出されたものの、いずれも世論の激しい反発にあい、廃案と継続審議を繰り返し、結局、成立断念を余儀なくされてきた。にもかかわらず今回は、来る2020年の東京五輪開催におけるテロ対策・治安対策を口実として法案成立を図ろうとしているのである。
  2. そもそも共謀罪が世論の強烈な反発にあい廃案に追い込まれたのは、同罪の本質が「国民弾圧法制」であるからに他ならない。すなわち共謀罪法案では、実行の着手や準備行為に至らなくても共謀罪が成立するとされ、従来の共謀共同正犯とは異なり、思想でなく行為を罰するという刑事法体系の基本原則に矛盾するものである。しかも長期4年以上の600を超える犯罪に創設が予定され、多数の対象犯罪を掲げ捜査範囲をあいまいにすることで、捜査機関の恣意や判断で憲法が保障する国民の自由や権利を抑圧するものとなっている。
     このような危険性を持つ共謀罪が創設されれば、集団的自衛権の行使容認へ舵を切ろうとする安倍政権の下、昨年末の特定秘密保護法制定や、いわゆる盗聴法(通信傍受法)の適用対象拡大の論議とあいまって、国家による国民監視を容易にし、"戦争準備体制"の確立に道筋をつけることになるのは明らかである。
  3. 国民は、自らの自由や権利と引き換えに、日本が戦争可能な国になることを望んでいない。共謀罪創設は、日本の戦争準備体制への一翼を担うものである以上、その創設を阻止することは必須の課題である。
     自由法曹団東京支部は、共謀罪創設に反対し、全力を挙げて法案成立阻止に取り組むものである。

2014年2月22日
自由法曹団東京支部 第42回支部総会

 
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