自由法曹団 東京支部
 
 
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支部の意見書・声明[2012年]

司法修習生の給費制を存続させ、国家が法曹を養成する体制を断固守り抜くことを求める決議


  1. 司法修習生に対する給費制の存廃をめぐるたたかいが、今春の国会で最終局面を迎えようとしている。
     昨年、政府内に設置された「法曹の養成に関するフォーラム」は、給費制廃止の結論ありきの議論や再考を許さない姿勢で議事が進められ、給費制は廃止すべしとの中間取りまとめを強行した。全国各地で集会が開催され、給費制の存続こそが市民の願いであるとの議論が高まり、また「フォーラム」開催時には数十名のビギナーズ・ネット会員はじめ給費制存続を願う市民団体や自由法曹団東京支部の団員が詰めかけて公正な審議や傍聴を求めたりなど、活発な運動が展開されたが、「フォーラム」はこうした状況を全て無視し、「給費制存続は司法制度改革と逆行する」「弁護士になれば貸与金は返済できるから、返済できない例外的な人への援助について個別に議論すればよい」という理由のみで上記取りまとめに至った。
     しかし、運動はこうしたフォーラムの姿勢に批判的な国会議員を動かした。与党民主党内において法曹養成制度に関してのワーキング・チームが設立され、ビギナーズ・ネット会員はじめ各方面へのヒアリングを重ねた同WTは、法曹養成制度全体の見直しがなされない中、先んじて給費制の廃止を結論づけた「フォーラム」には賛同できない、との取りまとめを政調会へ上程した。政権党内部でのねじれが明確に現れたのである。さらに昨年臨時国会において、「給費制存続について2年後に再検討することとし、それまでの2年間は暫定的に貸与制を施行する」との閣法が法務委員会に提出され、継続審議となった。
  2. 自由法曹団東京支部は日弁連等と連携し、これまで統一修習と不可分一体の形で給費制が採用された経緯を繰り返し訴えてきた。すなわち、時として国家と対決する弁護士を含めた法曹三者が国家権力たる司法権の発動を担い、この三者の養成を国家が担ってこそ民主的司法が実現される、という、我が国の民主的国家としての復興に賭ける崇高な決意である。この制度趣旨を一度も顧みることなく、目先の財政難、あるいは司法制度改革への非科学的な盲信のみで推し進められた「フォーラム」の結論は、到底承伏できるものではない。
  3. 国会におけるこのような熾烈なたたかいの原動となったのは、日弁連はじめ各単位会による熱心な議員要請活動の他、夏期ほぼ毎日議員会館前にて実施されたビギナーズ・ネットによる街宣活動(あいさつ運動)が大きい。毎朝の通勤時間帯、国会関係者へひたすら訴え続けた若き当事者達の姿は、想像以上のインパクトを与え、国会内に給費制存続に関する問題意識を格段に高める成果を生んだといえる。
  4. 今春の通常国会では、継続審議となった閣法について、「2年間は給費制存続」という修正案を可決させることが目標となろう。深まる格差への疑念や新自由主義への批判の高まりは世界規模の躍動を持ちつつある。こうした議論との絡まりの中で、給費制存続が国民の人権保障と一体となった問題であるという理解を国民により広く深く知らしめ、短期間の決戦を勝ち取らなければならない。
     自由法曹団東京支部は、修正案の可決に向けて全力で取り組み、法曹を目指す若者が経済的理由で苦しむことない社会を取り戻し、国家がその人的基盤である法曹を養成するという民主国家の根本を守り抜くことを強く求める。
2012年2月25日
自由法曹団東京支部第40回支部総会
 
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