自由法曹団 東京支部
 
 
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支部の意見書・声明[2012年]

秘密保全法制定に反対する決議


 政府は、11年10月7日、秘密保全法案を本年1月からの通常国会に提出することを決定した。これは国の「安全・外交・公共の安全及び秩序維持」の3分野について、「国の存立にとって重要な秘密情報」を「特別秘密」に指定して、秘密を漏えいすることなどを犯罪とし最高10年の懲役刑を科すという内容である。
 しかし、どのような内容が「国の存立にとって重要な秘密情報」として「特別秘密」になるかの要件が不明確であり、国が恣意的に「特別秘密」と指定することで国民に対して重要な情報が無限定に秘匿される危険性が高い。情報を扱う公務員は、厳罰を恐れて報道機関の取材に応じないこととなり、必要以上に情報の秘密の壁が高くなる。マスコミが国民の知る権利に資するべく取材し情報を取得する行為も処罰の対象とされかねない。結果として、取材・報道の自由は制限され、国民の知る権利が大きく侵害され、情報統制が大きく進むこととなる危険性が大きい。
 また、秘密を取り扱う者に対しては、その思想信条・交友関係等の個人情報に関する調査が実質的に強行されることとなるばかりか、配偶者や知人友人まで調査の対象になることとなり、プライヴァシーの保護が極めて軽視される状態となる。
 秘密保全法が制定されれば、たとえば現在問題になっている原子力発電所についても、「テロの対象になる」としてその構造や安全機構などについて「特別秘密」扱いにされれば、国民の安全が危機に瀕することは容易に想像できる。また、米軍の垂直離着陸機MV22オスプレイの配備についても、安全性の問題での事故の派生状況や事故態様なども「特別秘密」にされることにより周辺住民の安全が侵害される危険は極めて高い。
 このように、秘密保全法が制定されれば、戦前の軍機保護法、国防保安法が復活したが如き状態になることが十分予想される。国民に同法案の危険性を周知して警鐘を鳴らし、広範な国民とともに国家機密法反対運動以上の取り組みを行い、同法の制定を阻止することに全力を挙げるものである。

2012年2月25日
自由法曹団東京支部第40回支部総会
 
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