自由法曹団 東京支部
 
 
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支部の意見書・声明[2011年]

大田区・武蔵村山市教委への教科書採択に抗議の声明


東京都大田区、同武蔵村山市が「つくる会」系の歴史・公民教科書を採択したことに抗議し、採択の撤回を要求する

 本年8月4日、大田区教育委員会は、2012年4月から区内公立中学校で使用する教科書について、育鵬社版歴史教科書及び公民教科書を採択した。また、8月5日には武蔵村山市教育委員会が2012年4月から市内公立中学校で使用する教科書について、育鵬社版歴史教科書及び育鵬社版公民教科書を採択した。
 育鵬社版の歴史教科書及び公民各教科書は、「自虐史観からの脱却」を謳って日本の侵略戦争の歴史を否定しようとする「新しい歴史教科書をつくる会」系の教科書である。
 育鵬社版歴史教科書及び公民教科書は、アジア諸国を蔑視し、天皇を中心とする日本の伝統を情緒的に強調し、日本国憲法を押し付けられた憲法であって「改正」すべきものと教え、自衛隊を海外に派遣する必要性を強調する内容を基軸としており、一言でいえば、「戦争をする国」を担う国民を育成しようとする教科書であるというほかない。
 このような内容の育鵬社の歴史教科書及び公民教科書に対しては、その内容が歴史や憲法に対する見方があまりにも一面的で多くの誤りを含むものであることから、多数の有識者がその採択に反対の声をあげており、また全国各地でその採択について多数の市民から強い反対が出されていたところである。
 大田区及び武蔵村山市教育委員会の今回の教科書採択は、このような強い反対を完全に無視したものである。
 同教科書で教育を受けねばならない子ども自身は、未だ批判能力の十分ではない中学生であり、同教科書による偏向した教育を受けることによって、子ども自身に回復しがたい重大な悪影響を及ぼす危険性が高く、また、その内容が、アジア諸国の蔑視、また侵略戦争の否定を基軸とするものであるため日本の現在と将来に重大な問題を引き起こし、国内はもちろん、アジア近隣諸国からも厳しい批判を受けることは確実である。
 われわれ自由法曹団は、大田区及び武蔵村山市教育委員会の今回の歴史教科書及び公民教科書の採択に対し、抗議するとともに、ただちにこの採択を撤回し、改めて十分な調査研究に基づく採択をやり直すことを要求するものである。

 2011年8月5日

自由法曹団
 団 長 菊池 紘
自由法曹団 東京支部
 支部長 藤本 齊

 
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