自由法曹団 東京支部
 
 
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支部の意見書・声明[2011年]

B型肝炎問題の早期全面解決を求める決議

2011年2月26日

 我が国では、予防接種法及び結核予防法により国が1988(昭和63)年ころまで実施した、幼少期児童の集団予防接種における注射器の使い回しによって多くのB型肝炎持続感染者を生むこととなった。B型肝炎は慢性肝炎から肝硬変、肝がんに進行し、あるいは慢性肝炎を経ないで突然肝がんを発症することもある極めて深刻な病気である。原告・被害者は、今後の症状悪化への不安や多額の治療費負担、いわれのない差別偏見に苦しみながら日々生活しており、一刻も早い救済が求められる。
 この問題については、2006(平成18)年6月の最高裁判決によって国の責任が認められた。しかし、同最高裁判決後も、国は何ら一般的な対策をとらなかったため、2008(平成20)年に全国で訴訟が提起され、現在、札幌、東京、福岡など全国10カ所の裁判所に訴訟が係属している。既に2009(平成21)年12月に、国に責任があることを基本として肝炎対策基本法が成立しているが、裁判上はまだ解決に至っていない。
 その中で2010(平成22)年3月札幌地裁が和解勧告を行い、本年1月11日、札幌地裁は和解所見を出した。原告弁護団は苦渋の決断として所見受け入れを決定し、国も所見受け入れを公表した。しかし、慢性肝炎発症後20年を経過した原告の扱いなど、所見で積み残された問題について原告と国の意見が対立しており、未だ基本合意成立ができていない状況である。
 国は、原告を含めた被害者全員へ謝罪し、慢性肝炎発症後20年を経過した被害者を含め被害者全員を等しく救済すべきである。また、原告団・弁護団との間で協議機関を設置し、正確な医学知識の普及による差別・偏見をなくす施策の実施、真相究明と再発防止策の策定、無症候性キャリアを含むウイルス性肝炎患者全員に対する恒久対策を実施し、B型肝炎問題を前面解決すべきである。
 多くの団員が全国でB型肝炎訴訟弁護団員として活躍しているが、団東京支部はB型肝炎事件の早期全面解決を求めて、今後も取り組んで行くことを決議する。

第39回自由法曹団東京支部総会

 
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