自由法曹団 東京支部
 
 
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支部の意見書・声明[2011年]

東京都が築地市場移転を断念し,現在地再整備に着手することを求める決議

2011年2月26日

 09年の都議選では,築地市場移転反対を掲げた民主党が第一党となり,自民党・公明党が過半数割れして与野党が逆転した。しかし,民主党は10年3月の定例都議会で豊洲の用地取得費等を盛り込んだ予算に反対せず,付帯決議による一部凍結にとどまった。そして,付帯決議で現在地再整備の委員会も作られたが,本来両立しない豊洲移転の委員会も存続された。その後,10年10月に東京都は凍結されていた豊洲の用地取得費等1281億円の執行を決めるに至り,11年度予算原案に盛り込まれている。民主党はもともと自民党・公明党とともに豊洲移転を進めており,都民の世論に押され築地市場移転反対を掲げたが,いったん第一党になると豊洲移転の計画の進行を実質的に促進してきたのである。これは都民の信託に対する大いなる裏切りであり,都立3小児病院の廃止に続く都議会民主党の実態を表している。
 卸売業者・仲卸業者の淘汰,建設用地の土壌汚染,都民不在の跡地再開発といった築地市場移転・豊洲新市場建設の問題点は改めていうまでもない。特に菅内閣がTPP(環太平洋連携協定)を推進する中,卸売市場における新自由主義=構造改革路線の具体化としての豊洲新市場は,加工・パッケージ,転配送機能等を有して大手スーパー等に奉仕する一方,目利きをする業者の淘汰により多くの消費者や小売業者等に不利益をもたらすものであり,道州制を見越して首都圏の卸売市場の統廃合をもたらすことになる。また,豊洲新市場計画の用地については,日本環境学会が東京都に対し,移転強行を決めた10年10月に「食の安全・安心」の視点で再検証と公開討論を行うよう要請するなど,東京都が根拠のない安全宣言をすればするほど不安が高まっている。築地市場移転反対は都民及び関係者の多数であり,それゆえに東京都は合意形成の努力を一切せずに豊洲移転の計画を強行しようとしている。
 しかし,今回の都知事選挙は,東京都に築地市場移転を断念させ,現在地再整備に着手することを求めるチャンスでもある。少なくとも3期12年の石原都政は終わり,都民の多数の要望である築地市場移転反対を掲げなければ東京都知事に就任できないことは明らかである。
 自由法曹団東京支部は,都民の食生活の安全・安心を守るため,東京都に対し,築地市場移転を断念し,現在地再整備に着手することを求めるものであり,そのために全力をつくすことを決議する。

第39回自由法曹団東京支部総会

 
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