自由法曹団 東京支部
 
 
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支部の意見書・声明[2009年]

都立3小児病院存続を求める声明

2009年12月9日

1 本年3月の都議会で、都立清瀬小児病院、八王寺小児病院、梅ヶ丘病院を廃止し小児総合医療センターに統合する条例が厚生委員会では賛成7、反対6の1票差で議決された。しかし、地域住民は、これに根強く反対している。
 上記都立3小児病院は、これまで各地域の小児医療を支えてきた。多摩北部医療センターは、清瀬小児病院と比較しても医師数・病床数で10分の1にも満たない状態で、年間救急患者の受入数では清瀬小児病院の12,092人と極めて脆弱な体勢しか組めていないことが明らかになっている。
 また、新生児集中治療室(NICU)の設備も、国の基準では多摩地域には93〜110床が必要であるにもかかわらず、現在でも42床しか確保されておらず、少なくとも51床が不足している。そのうち清瀬小児病院には6床、八王子小児病院には9床が確保されている。小児総合医療センターには24床作るとされているが、それでもこの両病院の15床を廃止すれば、不足状況が改善されないのは明らかである。
 また、梅ヶ丘病院は、日本でも有数の小児精神科病院であり、全国の同科の1000病床数の4分の1を占める264床を保有している。また、精神科の治療には落ち着いた環境や独立性が必要であるが、統廃合ではその配慮が保てないことは明らかである。
 上記のとおり、都立3小児病院を廃止して、小児総合医療センターに統合すれば、地域の小児科医療体制を破壊し、小児の生命・健康を危険にさらし、安心安全な子育てが確保できなくなることは極めて明白である。東京都は、3小児病院の廃止を凍結し、多摩地方の医療体制の充実整備に尽力すべきである。

2 しかるに、都議会民主党は、本年3月に統廃合条例案が都議会に上程された際には統廃合に反対していたにもかかわらず、7月の都議会議員選挙後の本年11月13日、突如3小児病院の廃止を前提として、都に対して後医療の充実を求める「緊急要請」を行い、この要請に対する都の回答を「及第点」として3小児病院存続条例案を提出しないことを決めてしまった。都議会民主党の「及第点」と評価する上記都の回答は、医師、看護師の増員による救急当直体制の1シフト増、来年度早期に八王子市の既存病院の体制整備、といった程度のもので、上記の3小児病院が達成してきた医療体制水準に到底及ばないものであり、また、その達成についても「努力する。支援する。」とするにとどまり、なんら約束されたものではない。
 民主党には、本年7月の都議会議員選挙の際に、3小児病院存続を公約に掲げて当選した議員も多数いる。しかるに、唐突に「緊急要請」を出し、十分でもなく確実でもない都の対策を容認して3小児病院の廃止を容認することは、都民の3小児病院存続の要望を同党に託して投票した都民に対する背信行為である。都議会民主党は7月選挙の当選時に立ち返り、3小児病院存続の条例案を提出するよう求める。

以上
自由法曹団東京支部 支部長 島田修一

 
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