自由法曹団 東京支部
 
 
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築地市場移転に反対し現在地再整備を求める決議


 東京都は14年に築地市場を豊洲に移転する計画に固執している。
 農林水産大臣が04年に策定した第8次卸売市場整備基本方針は,食の安全・安心への対応として品質管理の高度化に関する事項を規定する一方,卸売市場の再編として中央卸売市場の再編基準を設定し,取引規制の緩和による最適な流通の実現等を目指すとしている。しかし,同方針はPFI(民間の資金とノウハウの活用による公共施設等の整備手法)や民間委託の活用も挙げていることから明らかなとおり,新自由主義=構造改革路線の一政策であり,消費者の利益に反するものである。その東京における具体化である築地市場移転の狙いは,現在でも減少を続ける卸売業者,仲卸業者を一層減少させることを含め大手スーパーに奉仕する流通センターとして市場を「改革」すると同時に,超一等地である跡地の再開発を進めることにある。専門性の高い業者の排除によってその業者の生活が破壊されることはもちろん,その業者の目利きによって保たれてきた食の安全・安心も確保できなくなることはいうまでもない。
 また,移転予定地は東京ガス工場跡地であり,08年春には環境基準の4万3000倍のベンゼンや同じく860倍のシアンが検出される等深刻な土壌汚染が見つかった。東京都は土壌汚染対策を協議する専門家会議,工法を検討する技術会議を設置し,地下2メートルの土壌交換等総額586億円をかけた土壌と地下水の浄化で食の安全・安心が確保できると強調した。ところが,09年1月,発がん物質が公表値の115倍検出されたことや不透水層が確認できない地点の存在を専門家会議に報告していなかったといった東京都の汚染隠しと評価せざるを得ない事実が明らかになり,この土地に都民の「食」を支える市場を移転することは極めて不適切であると言わざるを得ない。
 加えて,東京都が築地市場移転の口実に使ってきた16年オリンピックの招致に落選しており,この点からも計画は破綻したというほかない。
 東京都の10年度予算原案には,築地市場移転のための用地買収・設計・土壌汚染対策費1281億円が盛り込まれている。しかし,10年1月26日の東京都議会経済・港湾委員会においては,築地市場移転問題についての参考人招致が行われ,移転反対の水産仲卸業者らでつくる「市場を考える会」の代表が,「物流センター化して仲買人のための市場ができなくなり,一般の店から買い出しに来なくなるのではないか」「業者のみなさんの協力があれば築地で十分再整備できる」等と述べている。まさしく今求められるのは築地市場の移転計画をきっぱりやめて現在地再整備に立ち返ることである。
 自由法曹団東京支部は,都民の食生活の安全・安心を守るため築地市場移転に反対し,現在地再整備を強く求めるものである。

2010年2月27日  自由法曹団東京支部第38回支部総会
執行先 マスコミ関係、東京都知事、都議会各政党

 
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