自由法曹団 東京支部
 
 
トップページ 新入団員の紹介

団員の活動紹介

新人紹介

三多摩法律事務所 佐藤 宙

 「弁護士という社会的身分に価値があるのではない。どのような弁護士になるかがその人の価値を決める。価値のある弁護士になれ!」
 これは、中学校を卒業するとき、漠然と弁護士になりたいと思っていた私に、恩師が激励の言葉として送ってくれた言葉です。当時の私には、まだこの言葉の重みを量ることはとても無理なことであったと思います。
 高校生になり、授業の一環で、弁護士事務所を訪問することがありました。その事務所や弁護士の雰囲気はとても質素なもので、当時私がイメージする弁護士像とは大きく異なっていました。その弁護士は、私に「弁護士は人の力になれる職業。大変だがやりがいがある仕事です。」と言ってくれました。将来、困っている人の力になる職業に就きたいと考えていた私は、その言葉を聞いて、自分にピッタリな職業であると思い、弁護士になろうと決意しました。
 18歳の春、私は大学の法学部に入学し、憲法と出会いました。国家権力から国民を守り、国民一人ひとりを大切にするという憲法のあり方、そしてそのスケールの大きさ。憲法との出会いは私に大きな衝撃と感動をもたらしました。その後も、私は憲法ゼミに入り、憲法の研究を続けました。その中で、この国の政府により憲法がないがしろにされてきたこと、それを追認するかのような裁判所の判決がいくつも出されたことを学びました。そして、それらの事件には、苦しみ涙を流したたくさんの人々と、彼らに寄り添い、共に闘ってきた弁護士の姿があるということも学びました。当時、憲法の魅力にすっかりとりつかれていた私は、自分も憲法を守り、人々に寄り添い共に闘っていく弁護士になりたい、そう思うようになりました。
 幸いにして、私は司法試験に合格し、司法修習生になりました。司法修習では、たくさんの弁護士を目にします。弁護士と一口には言いますが、やっていることは人により千差万別です。司法修習生は、自分のなりたい弁護士はどんな弁護士か、という問いに否が応でも直面します。「憲法を生かし、困っている人々に寄り添い共に闘う弁護士」、これが弁護士になった今も変わらない私の答えです。
 第二次安倍内閣が発足し早一年。いよいよ本格的に人々にとって生き辛い社会になってきました。これは決して自然現象ではなく、明確な政府の意図な政策の結果です。毎日生きる希望が持てず、辛い日々、不安な日々を暮らしている人々はたくさんいると思います。
 私は、この時代に弁護士になった者として、人々が生活しやすく、安心して過ごせる社会を実現するために何ができるのかを日々自問自答しながら、価値のある弁護士になれるよう、がんばっていきたいと思います。
 「弁護士という社会的身分に価値があるのではない。どのような弁護士になるかがその人の価値を決める。価値のある弁護士になれ!」私も今年で27歳。この言葉を聞いてから12年が経ちます。少しだけ大人になった私には、やっとこの言葉の意味の重さがわかってきた気がします。

 
自由法曹団東京支部 〒112-0014 東京都文京区関口一丁目8-6 メゾン文京関口U202号 TEL:03-5227-8255 FAX:03-5227-8257