自由法曹団 東京支部
 
 
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団員の活動紹介

八王子合同法律事務所

八王子合同法律事務所 和泉 貴士

 弁護士増加に伴い、過当競争の時代が訪れている。一般民事の事務所に就職した同期の弁護士の中には、手持ちの事件が少ないため、複数の法テラスの相談に通う人も少なくないと聞く。将来に不安を感じる若手もいるかもしれない。
 事務所に入所して3年半になる。事務所で活動していて思うのは、私たちの事務所は地域事務所に徹することで時代の変化への対応を試みているということだ。
 団総会で人権課題について議論しそれを地域に持ち帰ったとしても、弁護士だけで実現できることは少ない。地域に問題意識を共有できる民主団体が育っていなければ、真の意味で運動を展開することはできないだろう。学習会や地域の諸活動を通じて、民主団体の組織を担う人材を育成すること、その過程で弁護士も学習するとともに地域での人間関係を強化することができる。そうすれば、自然に依頼も増え、事務所の収入も安定化する。逆にいえば、地域住民を巻き込むことなく弁護士だけで盛り上がるような当事者不在の人権活動は、地域事務所の役割からみて好ましいものではない。
 事務所が行っている地域の活動は多彩である。地域事務所として先輩弁護士が種を播き、こまめに水を与えて育ててきたものの大きさを感じる。例えば、私が参加している高尾山天狗裁判は学者、宗教家、地域住民など原告1000人以上を集める。横田基地の飛行差止訴訟も新たに原告団員の募集を始めた。
 地域の労働運動についても、私達は、労働組合の立ち上げから関与することも少なくない。その結果、八王子労連は昨年一年間で加入した支部数が8(百数十名の組合員拡大)となり、東京でも有数の地域労連となった。公務の非正規労働者の事件では、都労委勝利後、政治家、労働組合、弁護士が一体となって戦果の拡大に努め、過半数を超える市議による団交応諾の申し入れを行い、また、組合員も当初の6倍の人数となった。タクシー労働者の事件では、地元の公民館での旗開きに招待され、青年委員長の中学生の妹の作ったクリームシチューをつまみに、発泡酒で慎ましく乾杯したこともあった。
 新たな課題に取り組み、新たな依頼者層を獲得する努力も行っている。そごう八王子店撤退問題では、名店会長は「77歳で生まれて初めて大衆運動というものを知りました。」と述べた。演劇やメディアなどあらゆる手段を用いて世論に訴えた。過労死問題や自殺対策についても、家族の会や NPO、地域自治体に根を張りながら活動を行っている。
 年末に新人が加入し、弁護士14名事務局9名の体制となる。これからも地域に種を播き、水をやる努力を最重視しつつ、地道に活動を続けていきたい。

 
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