自由法曹団 東京支部
 
 
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神田司町にいらっしゃい
〜東京あさひ法律事務所の紹介〜


東京あさひ法律事務所 白井 劍(しらいけん)

 わが事務所は神田司町(つかさまち)2丁目にある。神田司町には1丁目は存在しない。ただ2丁目だけがある。かつての1丁目は内神田に統合されたらしい。2丁目は行政から町名を守りぬいたのだそうだ。この街で1986年1月にわが事務所は誕生した。
 司町2丁目交差点近くの小さなビルに賃借している。4階と3階だ。
 エレベータで4階に上がる。4階は所員のためのフロアだ。3分の1が弁護士執務室。3分の1が事務局室。残りは会議室と休憩室だ。
 きょうは所外の弁護士が4階に大勢いらっしゃっている。銀座眼科事件の被害者弁護団だ。銀座眼科の近視レーシック手術は多数の被害を生んだ。営利優先の劣悪な衛生環境とずさんな手術が原因だ。50余名が提訴に加わった。弁護団も20名をこえる。事務所から石川順子(37期),藤田陽子(57期),三浦恵美(61期)が参加している。石川が弁護団長だ。ちょうどいま会議室では石川が所外の弁護士たちと侃々諤々の議論の最中だ。休憩室では三浦を中心に3名が作業をしている。個別原告の資料づくりに三浦は黙々と取り組む。弁護士執務室にも所外弁護士がふたりいる。そのふたりに藤田がテキパキと指示を出す。ふだん無口でおとなしい藤田は,じつは姉御肌だ。
 同じ執務室でパソコンを打っているのは事務所代表の鈴木堯博(24期)だ。喧噪を気にせず準備書面の作成に没頭している。鈴木は高尾山天狗裁判の弁護団長を務める。圏央道建設が高尾山の景観や生態系を破壊し大気汚染等の住民被害を生む。この有害で無駄な公共事業にストップをかけようと提起された裁判だ。敗訴判決の連続だが,鈴木はくじけない。勝利の歴史に転換させることがきっとできる,そういう信念を貫こうとする。

 4階から3階に目を転じよう。3階は来客用のスペースだ。4つの応接室がある。いまも2組の面談が進行中だ。
 1組は管野謙吉(27期)が面談している。管野は保険会社を顧問先にもつ。いまは会社の担当者と笑顔で話に興じている。博覧強記という言葉があるが,管野にふさわしい。どんな話題でも豊富な知識が次々と口から出てくる。管野はかつて薬害スモン東京弁護団の,その後水俣病東京弁護団の訟務を担った。
 もう1組の面談は岡村実(42期)がしている。岡村はわが事務所に新人として入所した初めての弁護士だった。いまは薬害イレッサ東日本弁護団副団長を務める。事件弁護団でも事務所運営でもこの人のもつ穏やかでやさしい雰囲気は,忙しさからくる皆の刺々しい気持ちを和らげてくれる。得がたい人だ。

 ほかに客員弁護士がいる。土屋英雄教授だ。筑波大学の憲法学者で,精神的自由に関するアメリカ判例研究の第一人者だ。しかも,中国憲法や中国の人権状況に関する研究でも知られる。そのうえ最近は,NHK受信料拒否や行政オンブズマンに関する執筆活動にも忙しい。むろん事務所にはめったにいない。
 おっと自分を忘れてた。わたし(白井劍,37期)は東京「君が代」裁判の弁護団員だ。

 立って国歌を歌わない教師は懲戒処分をうける。こういうひどい強制は珍しい。中国と北朝鮮と東京都くらいなものだ。裁判所もひどい。ピアノ裁判以来ずっと連戦連敗だ。でもこの連敗は止められる。止めたら反転攻勢だ。止まない雨はない。明けない夜はない。そういつも思う。
 おやっ。4階では銀座眼科弁護団の人たちが帰りじたくを始めたようだ。議論も作業も終わったのだろう。食事に行く相談をしているのかも知れない。
 神田は安くてうまい店がたくさんある。たまには神田司町にいらっしゃい。ご馳走しますよとはけっして言わないけれど,ご案内ぐらいはいたしますよ。

 
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